ここで示されているのは主人公の女性が手放したくても手放しきれない執着ではないでしょうか。

どれだけ愛し合っても胸を張って誇れるような健全な関係性ではない2人の関係性。

重ねれば重ねるほど虚しさが募るばかり。

肉体だけの関係で割り切れるほど精神は決して達観しているわけではありません。

かといって切り捨ててしまえる安い関係でもないのです。

かたちのある未来、すなわち健全な夫婦という前向きかつ建設的なものを主人公は決して望んでいるわけではありません。

ここで分かるのは主人公が相当に我が儘な女。

それも物凄い他人に迷惑をかけてしまう許されない意味での我が儘な女ということでしょう。

おそらくその男性のことを愛しているし、肉体関係だって望めば簡単に手に出来てしまいます。

かといって、ではその男性の全てを受け入れ愛することが出来るかというと、それはまた別問題なのです。

不倫や犯罪者など多くの反社会的な恋の心理が非常によく表現されています。

要するに火遊びの感覚・スリルが好きなだけとなります。

ただ、そんな傍から見たら格好悪い生き様なのに、どうしてこうも惹かれて共感してしまうのでしょうか?

それは人間という生き物が本来は社会のルールなどに縛られず生きていきたい野蛮な生き物だからです。

どんなに思考や言語が発達しても所詮は猿から進化した動物に過ぎず、ほとんどの意志決定は感情でなされています。

そのことをこの短い僅かなフレーズで歌い込むという高等技術を見せているのではないでしょうか。

決して重ならない2人の道

JUJU「この夜を止めてよ」歌詞に込められた2つの意味?!ドラマ『ギルティ悪魔と契約した女』主題歌♪の画像

おなじ色の夢みてたつもりで ちがう道を歩いてた
別れのときも選べないのなら せめて この夜を…

出典: 出典: この夜を止めてよ/作詞:松尾潔 作曲:松本俊明

そのように敷居が高い関係性の恋愛ですから、当然同じ道を歩いているようで決して重なることはありません。

主人公も、そして相手の男性もきっとそのことは最初から分かっていて、それでも尚別れがたいのです。

しかし、この関係性はあまりにもずるいと断言できるのではないでしょうか。

何故ならば「止める」とか「止めよう」とかではなく「止めてよ」と相手に懇願しているのですから。

自分で自分を変えようとするのではなく相手に変わることを求めるばかりですから、主人公はとてもずるい女です。

本当に関係性を止めたいのならば、そこに至る理由や経緯がどうあれ静かに離れて距離をとればいいのですから。

間違いなく主人公は損切りが下手な女性であり、ビジネスや投資では確実に失敗するタイプではないでしょうか。

ダメ男を引き寄せてしまう女性程このように「損切り」が苦手であり、自らの決断でそのダメ男との関係性を絶てないのです。

しかし、それは単にダメ男に都合良く洗脳・利用されているに過ぎず歪んだ関係性でしかありません。

どこまで行っても、結局は離れられないダメ男とダメ男を捕まえてしまう女の心理が非常に的確に歌い込まれているのです。

ドラマとしてみると犯罪者と堅気の恋愛なのですが、実態はダメ男を引き寄せてしまうダメ女と大差ないということの証左でありましょう。

ドラマと曲とのつながりは?

JUJU「この夜を止めてよ」歌詞に込められた2つの意味?!ドラマ『ギルティ悪魔と契約した女』主題歌♪の画像

ドラマ『ギルティ悪魔と契約した女』の主題歌!

「この夜を止めてよ」は菅野美穂さん主演のドラマ『ギルティ悪魔と契約した女』の主題歌ですが、ドラマの最終回を見た後にこの曲を聞くと、「さらに泣ける」といった声が多く挙がっています。

この曲は、ドラマの内容とリンクしている部分が多いため、よりこの曲の意味を知りたいと思った方は、ぜひともドラマを見てみることをオススメします。

ドラマの内容は?

JUJU「この夜を止めてよ」歌詞に込められた2つの意味?!ドラマ『ギルティ悪魔と契約した女』主題歌♪の画像

この物語の主人公は、菅野美穂さん演じる野上芽衣子という女性です。

彼女は15年前の事件で、無実の罪を着せられ13年間刑務所に服役していました。

そして、出所後はペットショップ店員として、かつての事件の真相を探りながら、復讐者として罪ある人々を自分の手で断罪し、復讐していきます。

玉木宏さん演じる、若きキャリア警視真島拓朗は、かつて自分のミスによって部下を失ったことで「生きる意味を見失って」いました。

そこで野上芽衣子と出会い、彼女が15年前の事件によって服役していたという事実を知り驚愕します。

そうして共に事件の真相を探っていくと同時に、野上芽衣子に惹かれていきます。

まさしく、この物語は芽衣子の「復讐劇」になりますが、その中にミステリーや恋愛の要素もあり、まさしく見所が盛りだくさんです。

「この夜を止めてよ」がエンディングに流れるのですが、それもまた非常にドラマの内容や雰囲気とマッチしていて感傷的な気分にさせてくれます。

「この夜を止めてよ」のPVは?

出演者は?

JUJU「この夜を止めてよ」歌詞に込められた2つの意味?!ドラマ『ギルティ悪魔と契約した女』主題歌♪の画像

PV(丹羽慎治監督)は丹波慎治監督が担当していて、女性役の女優さんにモデルの伽奈、男性役の俳優さんに竹財輝之助が出演しています。

モデルの伽奈さんは、ボーイッシュな女優さんで、不思議な雰囲気の方です。

男性の俳優さんの竹財輝之助さんは、「PV俳優」とも言われる方で、多くのPVに出演しています。

どんなPV?

PVの内容は、この二人の間柄を描いた作品となっています。

地下鉄に飾られた二つの写真には、かつて仲の良かった二人の姿が写っています。

それをPVの女性は順番に見ていきますが、最後には走って行ってしまいます。

PVを見ていると、恐らく、この二人の間にはもう取り戻せない心の壁が出来ていて、これ以上はもう関係は続けられないのだということが察せられます。

彼女視点であることを考えると、「彼氏の方からの別れ」であり、失恋を表していると言えます。

「この夜を止めてよ」の歌詞と共にPVを見ると、より歌詞の世界観に入り込むことができるのではないでしょうか。