「MUSIC FOR THE PEOPLE」
ファンとの距離感
君の瞳に
何が映ってるのか?
夢に燃えてる
僕の背中よ
淋しくさせても
許してくれ
飛ばなきゃならない
自分の空
出典: MUSIC FOR THE PEOPLE/作詞:G S A J PROJECT 作曲:BATTEN JENNIFER
まず、君と僕との立ち位置に注目。
‘‘君の瞳~僕の背中よ‘‘で、君が僕の後ろ側にいることが分かるでしょうか?
僕の背中を見守る君といったイメージです。
「MUSIC FOR THE PEOPLE」では、一貫してこの関係性が保たれています。
そして、‘‘淋しくさせても~自分の空‘‘では信念を信じてがむしゃらに進んでいく若さが表現されていますね。
さらにもう1箇所、若さがほとばしっている部分があります。
帰ってくるまで
待っててくれ
やるだけ やったら
燃え尽きるよ
出典: MUSIC FOR THE PEOPLE/作詞:G S A J PROJECT 作曲:BATTEN JENNIFER
これから羽ばたこうとする熱量と無鉄砲さを感じる歌詞です。
「 待っててくれ」と「燃え尽きるよ」といった一見矛盾する言葉を並べることで、「儚さ」を感じ取ることが出来ます。
それは初期衝動とも言えるかもしれません。
内面から突き動かされる激情がこの歌詞からヒシヒシ伝わってきます。
デビュー作だからこその、若い「僕」の危うさやまっすぐさをこの曲で表現しているのでしょう。
モチーフとしての「鳥」の登場
「MUSIC FOR THE PEOPLE」と「Wait for You」。
2曲には歌詞内において、「鳥」をモチーフにした詞が登場します。
また、「僕」にも翼を連想させる表現がいくつもあり、何らかのメッセージが隠されているはずです。
この2つの表現をあえて、過去と現在でリンクして使ってきた意図が。
下記で、両曲の歌詞を引用して、どのような効果があるのか考えていきます。
翼が繋ぐ成長
Music For The People Lovin'
翼を広げて
Music For The People Dancin'
この手に Victory
出典: MUSIC FOR THE PEOPLE/作詞:G S A J PROJECT 作曲:BATTEN JENNIFER
まず、デビュー曲では勝利をつかまんと翼を大きく広げるさまが表現されています。
この鳥の羽ばたき方に関しても、対照的に描かれています。
以下で引用した「Wait for You」では‘‘雲に浮かぶ 鳥のように‘‘で緩やかな曲線を描いて飛翔する鳥をイメージ出来ます。
デビュー時に荒々しく風を切りながら大空へ上昇していく鳥が、20年後には緩やかな曲線を描いてゆったりと飛んでいる。
少年から大人へと成長した様子を両曲で表現しようとしている、と取ることが出来ます。
雲に浮かぶ 鳥のように
あの上 あの空に
出典: Wait for You/作詞:Micro 作曲:Ameerah A.Roelants,Zac Poor,Yohanne Simon,David Sebon,Kyung Mi Kim
そして、この2曲にあえてモチーフとしての「鳥」を登場させた意味とは?
それは鳥を羽ばたかせることで、抽象的な歌詞でまとめられた両曲を同じ時空で繋ぐ効果を狙っているのだと思います。
つまり、「同じ世界の現在と過去の物語」であるということです。
それでは、この鳥とは一体何ぞや?
そう思い調べてみたところ、猛禽類の「鷲(ワシ)」なのではないのかという結論に至りました。
なぜならば、V6の名前の由来となった「V」から始まる英単語のひとつが「victory(勝利)」である点。
そして、その勝利を象徴する鳥が空高く飛翔する鷲(ワシ)だからです。
証拠に「MUSIC FOR THE PEOPLE」のMVでも、メンバーたちが踊るフロアーには鷲(ワシ)らしきペイントが施されています。
いかがでしょうか?次からは、その「君」に向けたメッセージについて考えていきましょう。
「FOR THE PEOPLE」から「for You」へ
「君」の存在
こうして周りを気にせず、ただひたすら走り続けてきた僕は20年後。
たどり着いた先で大切なものに気付く。
その様子が「Wait for You」の歌詞に繋がってきます。
ずっと後ろで支え続けてくれた君の想いに気付いた僕。
大人になった僕は、君と手をとり寄り添って歩んでいくことを選ぶ。
未熟から成熟へと成長する中で、ファンとの距離感も変化しています。
指折り数えてる I'll Wait for You
振り返れば君が そばにいてくれた
あの日々が あったから 今の僕がある
もういいかい?まだだよ 目指すあの場所まで
今すべてが始まる I'll Wait for You
出典: Wait for You/作詞:Micro 作曲:Ameerah A.Roelants,Zac Poor,Yohanne Simon,David Sebon,Kyung Mi Kim