街に溶ける

最低な生活
君も同じなの
全てがぼやけてて いつもそこに居なくて
答えはないんでしょ
僕だってもう分からないよ
混沌とした街で一人ゆらり
溶けていく

出典: 愚者のパレード/作詞:Sou 作曲:Sou

ここでは、自分自身を見失いかけている主人公の僕が描かれています。

意識がはっきりしない僕は、どこか上の空です。

3行目後半にもあるとおり、自分自身の肉体があるところに自分自身の魂が宿っていないような、そんな感覚です。

4行目では、考えても悩んでも、どんなに頭を使ったって永遠に答えが見つからないと嘆く姿もみられます。

結局答えなんてわからないまま、僕は世界に対する不信感だけを募らせていきました。

6行目ではとうとう、あれだけ嫌って反発していた世界に溶けて、同化しつつある様子まで描かれています。

崩れるココロ

行き交う人々
その誰もが 偽りに見えてしまって
揺れ動く僕の感情が
音を立てて崩れてく

出典: 愚者のパレード/作詞:Sou 作曲:Sou

主人公の僕は世界に対する不信感と同じく、人々に対してもそれを抱き始めました。

偽りの世界で生きる人々は、みんなのっぺらぼう

感情、本心が見えないことに対する恐怖、不安、不信感…そんなものを感じています。

その不信感は重なり続け、2行目後半でとうとう崩れ去ります。

子どもが遊ぶような、軽い積み木。それが積み重なって構成された僕の心模様。

そんな軽い心のタワーは、ちょっとの振動であっけなく崩れ去ってしまったようです。

何にも守られない僕

絵空事世界なんて 誰かの偶像だ
一縷の希望に縋って
周りを塞ぎ込んで
どれが本当
顔が見えない
ボロボロになった仮面を
懲りずまた直しては
壊してを繰り返して行く
止まない止まないこの歓声は
僕らを嘲笑っていた

出典: 愚者のパレード/作詞:Sou 作曲:Sou

4行目からは同じく、人々の本心が見えないことをのっぺらぼうであると表現している箇所もあります。

僕は完全に不信感に支配されてしまったようです。

また6行目に登場する仮面とは、世間一般向けに体裁を整えた自分の姿を表現する比喩です。

様々なきっかけで世間体は壊れ、それをまた取り繕って、また壊れ…そんなことを繰り返しているのです。

そんな仮面に縛られ続けている僕を馬鹿にするかのような、世間のヤジが10行目の歓声という表現でしょう。

対峙する2人の僕

虚しく響く、救いを求める声

並行世界の君は
黒に紛れ込んで
もうどうやったって後悔ばっかだ
味気ないでしょ
死にきれない劣等感と
消しきれない背徳感で
現実が停止した
ねえ誰か救ってよ

出典: 愚者のパレード/作詞:Sou 作曲:Sou

1行目にある並行した2つの世界とは、わかりやすく書き換えれば「本音と建前」でしょう。

本能に従って自由に生きたい僕と、世間体を気にしながら自分を偽って生きる僕

どちらも同じ僕なのに両者が交わることは一生なくて、それぞれの生きる世界は並行したままです。

そんな状況に対して3行目後半、後悔しているのは前者の本能に従いたい僕です。

そして5~6行目、劣等感も背徳感も、同じく本能に従いたい僕が感じているものです。

前者は建前の僕を消せないことに対して、後者は建前で本能を隠していることに対して感じています。

そうして並行していた2人の僕が交錯し始めたことで苦しみの渦に落ちた僕

最後に決死の思いで助けを求めているのです。

真実はどこか

ニセモノだって
ホンモノだったって
淘汰していく

出典: 愚者のパレード/作詞:Sou 作曲:Sou