佳山明生デビュー作【氷雨】

佳山明生【氷雨】歌詞の意味を徹底解説!彼女がお酒に溺れている理由って?呑まずにはいられない女心に涙の画像

今回ご紹介するのは佳山明生(かやまあきお)さんの【氷雨】です。

この楽曲は佳山さんのデビュー作でもあり、最大のヒット曲でもあります。

1983年「全日本有線放送大賞」でグランプリ、「第25回日本レコード大賞」ではロングセラー賞を受賞する大ヒットを記録。

佳山さんによる再発売は3回にも上り、多くのアーティストにもカバーされ昭和の名曲の仲間入りを果たします。

しかしその道のりは長く険しいものでした。

1977年に発売された【氷雨】、発売当初はヒットの兆しがなく時間をかけて各地をまわり歌い続ける日々。

地道な営業活動が実を結び、有線放送でのリクエストが細く長く途絶えないようになったのです。

歌い手である佳山さんが大切に育ててきた【氷雨】

さっそくその歌詞の意味をみていくことにしましょう。

今夜はお酒に溺れたい

帰りたくない理由

飲ませてください もう少し
今夜は帰らない 帰りたくない

出典: 氷雨/作詞:とまりれん 作曲:とまりれん

舞台は街の片隅にあるバーのカウンター。

そこにはひとり、静かにお酒を飲む女性の姿があります。

まわりの客たちが家路につく時間になっても彼女は帰ろうとしません

もう少しだけ、といってお酒を頼み続けます。 

今夜は家には帰りたくないと呟く彼女。

その理由をぽつりぽつりと話しはじめます。

悲しい女のひとり酒

誰が待つと言うの あの部屋で
そうよ誰もいないわ 今では
唄わないで下さい その歌は
別れたあの人を 想い出すから
飲めばやけに 涙もろくなる
こんなあたし 許して下さい

出典: 氷雨/作詞:とまりれん 作曲:とまりれん

彼女が話し出したのは、もう終わってしまった恋の話

あの人が去った誰も待っていない部屋には思い出もしみついているのでしょう。

こんな夜は溺れるほどお酒を飲んで酔ってしまいたい気分。

夜の街の明かりの下では、気持ちも少し紛れるものです。

しかし耳に入る歌も彼女の心を癒してはくれません。

これはあの人が歌っていた曲...。

彼女は過去に縛られ、つい涙が目ににじみます。

お酒で涙が誘われることも事実です。

こんな話をしてしまったのもお酒のせいかもしれません。

忘れられないあの人

私を捨てた あの人を
今更くやんでも 仕方ないけど
未練ごころ消せぬ こんな夜
女ひとり飲む酒 わびしい

出典: 氷雨/作詞:とまりれん 作曲:とまりれん

彼女はあの人を恨んでなどいません。

いっそ嫌いになれたら楽なのかもしれません。

でも彼女はそれすらできず、悔やみ続けています。

いくら後悔しても彼は戻って来ないのに...。

そんなことは頭ではわかっているつもりでも、いつもよぎるのはあの人への未練。

いくらお酒を飲んでも消えることはありません

ひとり酒をしている女なんて、かわいそうにしか思われないかもしれない。

自分でも自分のことをかわいそうに感じています。

それでも呑まずにいられないのです。

その寂しさを紛らわせるためには。

いまはここでお酒を飲んでいないと、自分を保てないのだから。

目にしみるのはタバコのけむり

酔ってなんかいないわ 泣いてない
タバコのけむり 目にしみただけなの
私酔えば 家に帰ります
あなたそんな 心配しないで

出典: 氷雨/作詞:とまりれん 作曲:とまりれん

彼女がいま言える最大の強がりかもしれません。

酔って涙ぐんだ彼女に心配して声をかけるマスター。

きっといまはその優しさも心の傷にヒリヒリしみてしまうのでしょう。

彼女は言います。

「もう少しで酔えそうなの、だからもう少しだけ飲ませてください。」

いま彼女の悲しみの居場所はここしかないのです。