BUMP OF CHICKEN【(please) forgive】歌詞解説！なぜ自由になるのが怖い？

クライマックスに向けて一直線に進んでいきます。

歌詞の躍動感が伝わるといいのですが。

「私」は生きていくことの意味を考え始めました。

もう逃げるのをやめて自由と対峙することを決意します。

自由を権威的な存在や他者に明け渡すことをやめようと決意するのです。

これは自由であることが自分の人生をまっとうすることとイコールであることへの気付き。

自由というものの恐ろしさにまだ身体は震えるようです。

それでも震える身体を引きずって精一杯生きることをようやく決心する「私」がここにいます。

「私」の決意を促したのは「私」の心の叫びと自由に生きる勇気ある「あなた」への憧れです。

マンガ的な展開をした訳ではありません。

あくまでも自分の心の声に忠実であることを選んだのです。

この先は過酷な人生が「私」を「あなた」を待っているかもしれません。

だからこそ「どうか赦しを（please forgive）」と祈ります。

自由に生きていてもどうか穏やかな人生でありますようにという人間の根源的な祈りへと回帰するのです。

藤原基央はここで「私」よりも「あなた」の選択を称賛し始めます。

彼がいつでもリスナーの方向を見ていることの証明です。

「あなた」の人生は「あなた」が決定・選択したもの。

その都度の選択こそが「あなた」の人生の正体です。

「(please) forgive」はどこまでも実存主義的な人間像が語られています。

決定・選択の淵でこそ、その人の実存が輝くことを歌うのです。

自由を享受することは自分の人生をすべて背負うことですから恐怖を伴います。

そのために怖じ気付く頭脳にはもう人生を任せない。

むしろ不自由の中で軋む心の叫びをいつでも聴き遂げて決定・選択していこう。

BUMP OF CHICKENの「(please) forgive」の歌詞の骨子はこのようなものです。

クライマックスはシンプルな歌詞です。

しかし、これまでのドラマを見てきた上で鑑賞するととても深い響きがあります。

「あなた」の行き先が「私」の思い描く場所になりました。

今や「私」は不自由で鬱屈した日々から抜け出しています。

もはや「私」は誰か他の人の命運までも背負う責任までも自覚しているのです。

それが心に留めていた相手である「あなた」の命運であるならばなおさらに責任を負って生きよう。

この不思議な歌詞は何度かリピートしてゆくうちに朧気に理解できます。

自由とは自分に責任を負うものですから、関わりのある人々すべての命運に関係してゆくのです。

「あなた」の旅路の安全はもはや「私」にとっても大事な事柄になりました。

「あなた」が穏やかに健やかに人生を送ることに「私」も責任を負うのです。

これは人間という社会的な存在が背負った宿命でもあります。

一方で藤原基央はBUMP OF CHICKENのリスナーである「あなた」といつまでも共にあると歌うのです。

様々な解釈が可能であり、そして端的にいってとても素敵な言葉でしょう。

自由であることの恐さに震えていても選択することが大事だと学べる「(please) forgive」。

BUMP OF CHICKENの楽曲の中でもとても重い主題ですが、最後に立ち現れる爽やかさに感動します。

素晴らしい楽曲をご紹介できて幸運です。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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