DADARAY「誰かがキスをした」とは?

【誰かがキスをした/DADARAY】哀しい妄想描くドラマ仕立てのMV!物語・歌詞の意味を解釈!の画像

「誰かがキスをした」は2017年6月28日に発売されたDADARAY3作目のミニアルバム「DADAX」に収録された楽曲です。

同年12月6日に発表されたファーストフルアルバム『DADASTATION』にも収録される、DADARAYを象徴する楽曲の1つでもあるこの曲。

MV歌詞の意味から「誰かがキスをした」の魅力に迫りたいと思います。

「誰かがキスをした」(DADARAY)のMVに込められた哀しいストーリーとは...?

岡田文章さんの監督による「誰かがキスをした」のMV

これまでの演奏シーンが印象的なMVとは一線を画す、ドラマ仕立ての映像ですね。

ボーカルのREISさんにも注目なMVの意味を考えてみましょう。

愛おしそうに花束を抱えた女性...彼女に取り憑いた妄想では...!?

歌詞も参考にすると、女性が愛おしそうに抱えている花束は、喧嘩してひどいことを言ってしまった彼との仲直りのための花束。

喧嘩してその時はかっとなって心にもないことを言ってしまったものの、次の日には冷静になり、ちゃんと謝りたいと思うこと、ありますよね。

帰ったら美味しいご飯を作って、花束を渡して謝って仲直りしよう。

そんなことを考えていたであろう女性の前に現れたのは、彼と、幸せそうに腕を組んだ知らない女性。

あまりの衝撃に目を見開いて固まってしまう女性。

何もできずにすれ違った後に振り返るのですが、もう遅く、二人はキスをしていたのでした。

思わず手にしていた花束を振りかぶると...皮肉にも愛おしい彼と暮らす部屋を飾るはずの花は浮気相手と彼とのキスシーンを彩ったのでした。

...と、もちろん、こんなことあるわけありませんね。

もし浮気相手といるところを自分の彼女に見られたなら、少しくらい反応するはずですし、あろうことか目の前でキスしたりするわけがありません。

妄想から現実に戻った女性は、自分が涙していることに気づき、自嘲するように静かに笑ったのでした。

全ては妄想なのですが、自分の言ってしまった一言によって、彼の心はもう自分から離れてしまったかもしれない。

その一言が彼の浮気を招いてしまうかもしれないと思い出した女性の心は重く沈むのでした。

こんな哀しい妄想が現実にならなければいい、そんなことを思ってしまうMVでした。

DADARAY「誰かがキスをした」の歌詞を解釈!

胸が締め付けられるような展開を見せたMVに心が痛んだという人も多いかもしれませんね。

もう切なさでお腹いっぱいだから歌詞解釈はいいかな...そんな気持ちになるかもしれませんが、注目して欲しいのはこのストーリーを描く言葉選び。

そこに鬼才・川谷さんの凄さが表れていますので、歌詞も一緒に見ていきましょう。

帰らない彼を待つ「私」にとっては小さな音さえタチの悪いいたずらで

午前4時過ぎの物音
帰らない人を待ってる私を期待させるいたずら
目をつぶって夢を探す

出典: 誰かがキスをした/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

無造作に置いたバッグがずれた音など、自分しかいない部屋の中でも、どこかで音がすることってありますよね。

ひとりぼっちの部屋で、帰らない彼を眠ることもできずに待ち続けた午前4時過ぎがこの曲の舞台です。

部屋の中で微かにした音に、彼が帰ってきたのではないかと思い、目を閉じたままの自分にかけられる彼の声を待ってみるものの、何も起こらない。

一瞬の夢を見せた物音は、マッチ棒が見せる一瞬の幻想のようでもあり、彼を待つ自分へのタチの悪いいたずらのようにも感じるのでした。

幸せも、恋愛も上手く捕まえられない自分

手網が上手く掴めない幸せ逃げてしまう
木の枝持って逃げた
あなたの顔がぼやけてた

出典: 誰かがキスをした/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

結婚すると、旦那さんの手網を掴んでなんて冗談で言われることもありますね。

手綱を上手く掴めないという「私」は、彼に甘えたり、距離を置いてみたりということが上手くいかないようですね。

本当に彼のことを好きだからこそそうなっているのに、いつも幸せの青い鳥は姿を見せたと思ったら木の枝をくわえて何処かへ行ってしまうように、自分の手には収まってくれないのでした。

記憶の中も大好きな彼の顔も涙でぼやけていく、「私」の抱える孤独や不安が見える歌詞ですね。

恋愛は数を重ねれば経験値も増える分、失恋の経験は増えれば増えるほど、トラウマ的な部分にもなっていきますよね。

この曲に出てくる「私」は幸せを感じたと思ったら彼が離れて行くというような経験を以前もしたことがあるのでしょう。

彼が帰ってこない夜にとてつもない恐怖を感じている歌い出しの歌詞とも繋がる部分ですね。

一言の後悔で泣きじゃくってるなんて、「あなた」は全く知らない