キリンジ「雨は毛布のように」

2001年リリース

【雨は毛布のように/キリンジ】歌詞に込められた意味を解説!雨のおかげで恋人と仲直りできる?!の画像

「雨は毛布のように」は、2001年6月13日にリリースされた7枚目のシングルです。

独特の歌詞の世界観とおしゃれなコード感が印象的な彼らの楽曲の中でも、より色濃くそれが表れた楽曲になっています。

また、オリコンでの最高順位は42位と振るってはいませんが、兄弟ならではのハーモニーはもちろん、その楽曲のクオリティーの高さから様々なアーティストや根強いファンから人気の高い1曲になっています。

それでは、次にそんな「雨は毛布のように」の歌詞に迫っていきましょう。

歌詞に込められた意味を解説!

雨のおかげで恋人と仲直りできる?!

雨が豪雨になって 雨がもうずっと
ケンカにも飽きる あの雲に飽きる
僕らはとりあえず 雨宿りを止めた
沈黙をやぶり 鉛色の粒の中へ
どしゃぶりの町はとても綺麗で
いつの間にか子供になっていた

出典: 雨は毛布のように/作詞:堀込泰行 作曲:堀込高樹

まずは、導入部分です。

タイトルにもあるように、天気は雨、さらに豪雨である様子が分かります。

そして、憂鬱になってしまう雨ですが、決して悪いことばかりではないと伝えてくれているような歌詞が描かれていきます。

というのも、この歌詞の世界の物語に登場するのは喧嘩をしているカップルです。

そんな2人の心模様を表現するかのように降る雨ですが、一向に降り止むことを知らない雨に雨宿りにも喧嘩にも飽きてしまったようです。

たとえ、喧嘩をしていても移動ができたり、2人が別の空間に離れるなどができればきっと仲直りの手立てもありますが、ここでは豪雨によってずっと同じ空間でいるしかありません。

そりゃ飽きるのも無理はないでしょう。

そんな状況を打破するかのように、2人で雨の下に飛び出します。

つまり雨のおかげで仲直りのきっかけを得たようなものなのです。

吹っ切るかのように、びしょ濡れになってはしゃぎまわる様子がイメージでき、なんだかもやもやしていた冒頭から一気に晴れやかで清清しい気分にまで持っていってくれる印象的な歌詞になっていますね。

高鳴るビートに弾もう
この確かなヒートを燃やそう
バシャっと蹴散らし さぁ 踊るように歩いていこう
ざーざー雨はクールな調べ
ずぶ濡れて僕らは笑う 慣れっこなはずの行為が
同じ路地を飾るよ ふざけてもいいかい
仲直りがしたいんだ

出典: 雨は毛布のように/作詞:堀込泰行 作曲:堀込高樹

そして、童心に返って、雨の中ではしゃぎまわることによって、さらに気持ちを高めていきます。

喧嘩している時はきっと相手に対して憤ったり、イライラしたりして、気持ちが高ぶっているはずです。

しかし、雨の下に出たことによって、そんな心持ちから徐々に冷静さを取り戻し、さらにはドキドキやワクワクへと転換させているように感じます。

そして、そうすることで喧嘩をしていた時には狭まっていた視界も開けていき、ふざける余裕まで出てきているようです。

最後には、「仲直りがしたい」と伝えていますが、これはきっと心の中で思っていることではないでしょうか。

素直にはなりきれず、ふざけることでそれを相手に理解させようとしているような、ちょっとずるい一面も垣間見えます。

素直ではない男性像

雨は毛布のように この僕らを包む
街路樹にはしゃぎ 排水口に唾を吐いた
どしゃぶりの中で手に入れたもの
濡れたパンツと君の笑顔さ

出典: 雨は毛布のように/作詞:堀込泰行 作曲:堀込高樹

そして、そんな関係を回復させる役割を担ってくれた雨のことを「毛布」と表現しています。

普段なら雨は冷たくて嫌なものですが、この楽曲の中では喧嘩を収束させてくれた温かな存在として描いています。

また、最後にはそうやって包み込んでくれた雨によって得たものまで描いています。

しかし、「君の笑顔」とだけ表現すればいいところを、合わせて「濡れたパンツ」も加え、ちょっとふざけることで照れ隠しのような歌詞にもなっています。

そして、そうやってふざける様子からはやはり素直ではない男性像が思い浮かびます。

もどかしい想い

高鳴るビートに弾もう
この確かなヒートを燃やそう
バシャっと蹴散らし さぁ
踊るように歩いていこう
ざーざー雨はクールな調べ
ずぶ濡れて僕らは笑う
慣れっこなはずの行為が
同じ路地を飾るよ ふざけてもいいかい
仲直りの証さ

出典: 雨は毛布のように/作詞:堀込泰行 作曲:堀込高樹

続いて、先に出てきた歌詞と同じような歌詞が続きます。

しかし、変わっているのは最後のところ。

「仲直りがしたいんだ」になっていたところが「仲直りの証さ」へ変化しています。

雨によってふざけるくらいにまで関係が回復した2人はもう仲直りしたと思いたい、そんなちょっと身勝手な想いがここでは描かれているように感じます。

結局はここまでのところ、仲直りに向けての具体的な行動は出てきません。

どしゃぶりの雨の中へ駆け出しただけです。

そして、ふざけあっているだけ。

それをどうにか相手に仲直りの印として受け取ってほしいという願望が描かれているのではないでしょうか。

しかし、関係自体は回復しているように取れるので、あと一言だけ欲しいなというもどかしい歌詞になっています。

なぜか涙がこぼれて

出典: 雨は毛布のように/作詞:堀込泰行 作曲:堀込高樹

そして、一変して笑顔だったはずの物語に「涙」が登場してきます。

これはきっと、素直になりきれない、そして、あと一言を発することができない自分に対しての悔しさや落胆が語られているのではないでしょうか。

また、関係は回復に向かっているので、その嬉しさも混じっているかもしれません。

喧嘩から仲直りまで、忙しい気持ちの感情の起伏や入り混じった想いが、ふいに涙となってこぼれてきたのかもしれません。