おいしくるメロンパン「candle tower」
2019年9月25日にリリースされた、おいしくるメロンパンの4thミニアルバム「flask」。
その4曲目に収録されているのが、今回取り上げる「candle tower」です。
タイトルの意味
アルバムのタイトルである「flask」は実験で使うフラスコを指します。
バンドとしても挑戦的なアルバムだったこともあって、このタイトルにしたのかもしれません。
楽曲のタイトルである「candle tower」は、歌詞に出てくる展望台を指しているようです。
展望台や灯台を表す英単語は他にあるのですが、あえて造語を使っています。
江の島の展望台「シーキャンドル」とも関わりがあるようにも感じられるネーミングです。
では、ここから歌詞を深堀りして見ていきましょう。
1番の歌詞を見てみる
朝を迎える
口を開けて見上げた出口
鱗粉を吸い込んで噎せる
まるで夜の標本みたいな朝
出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
冒頭、この物語を語っている人物がいる状況について描かれていきます。
出口が上にあることから、どうやら地下にいるようです。
鱗粉というのは、蝶や蛾の体や羽を覆っている粉のようなもののこと。
また、夜が明けないままのような朝のことを夜の標本と表現しているようです。
これによって埃を比喩した“鱗粉”と“標本”という言葉とリンクさせています。
山羊の群れの連なりの中
不安そうに笑って伏し目
雲の歯形 凹凸を縫ってく
出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
ここで出てくる山羊の群れは何を指しているのか明確ではありません。
おそらく何かが密集していて、それが雲のように見えているのではないでしょうか。
不安そうに笑うもう一人の人物と、スクランブル交差点で人の隙間を縫うように歩いているようです。
海までやってきた
風の吹く海岸沿い
霞立つ展望台
流れ出す遊覧船
出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
彼らがいる場所が展望台の見える海岸沿いに移りました。
海風に乗るように遊覧船が進んでいる情景が目に浮かぶような詞です。
これまで山羊、雲、霞などあまり色味のない言葉が続いてきました。
ですが唯一この遊覧船という言葉からは光や色が感じられます。
作り物の瞳
僕らの瞳は作りものだから
本当の色は誰も知らない
出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
そして今回のテーマである「作り物の瞳」が出てきます。
この僕らという言葉は、これまで歌詞に登場してきた二人ではなく、もっと広い意味を指しているようです。
どの人の瞳も作り物だから、誰も本当の色を知らずに生きている。
それにすら気が付いていないので、遊覧船という言葉から感じた色も偽りであるといっているようにも感じます。