アニメ「鋼の錬金術師」のED、「消せない罪」
アニメ界の歴史に残る「鋼の錬金術師」
「鋼の錬金術師」は、月刊少年ガンガンで連載され2度アニメ化された作品です。
王道ダークファンタジーとして一世を風靡した少年漫画。
少年少女はもちろん、多くの大人達の心も熱くしその人気は社会現象にもなりました。
未だに名作少年漫画として語り継がれています。
「鋼の錬金術師」のアニメは、そのストーリーはもちろん。
オープニング曲もエンディング曲も名曲揃いだと絶賛されていました。
エンディング曲としてアニメを盛り上げた「消せない罪」
「鋼の錬金術師」は2度アニメ化されています。
2度目のアニメ化は「FULLMETAL ALCHEMIST」というタイトルがついていて、原作を綺麗になぞった作品に。
1度目はダークな要素が強調されている世界観の作品になっています。
その1度目のアニメ化のエンディング曲に、北出菜奈の「消せない罪」が使われたのです。
当時から、この歌詞の内容とアニメの世界観が絶妙にマッチしているとファンの間でも高い評価を得ていました。
アニメのストーリーと歌詞がリンク。
「鋼の錬金術師」は全27巻、9年間に渡って連載された漫画です。
大好きな母親を亡くした幼い兄弟「エドワード・エルリック」と「アルフォンス・エルリック」。
2人は「錬金術」という術で禁忌とされている人体錬成を行い、母親を蘇らせようと試みます。
しかし、術は失敗。
兄エドワードは左脚と右腕を、弟アルフォンスは身体を失ってしまうのです。
2人は失った身体を取り戻すために旅を始め、色々な出来事を体験します。
大切な仲間に出会ったと思えば、喪ってしまったり。
挫折して自分の無力さを嘆いたり、時には兄弟で衝突することもあったり。
しかし、悩みながらも仲間に見守られ強く進んでいきます。
笑ったり苦しんだりを繰り返しながら成長していく2人の姿は見ている者の心を震わせ、引き込みます。
エルリック兄弟を思わせる歌詞
北出菜奈さんは「消せない罪」の作詞をする際に、エルリック兄弟をイメージしたと言っていました。
その歌詞を見てみましょう。
1番の歌詞はエドワード目線?
いつもの視線に君が居て呼吸が出来る
僕にとってならそれだけでもう十分な筈なのに
ちっぽけな僕は繰り返す 過ちばかり
どれ程強さを手にしたら何も傷つけず済むの?
出典: 消せない罪/作詞:北出菜奈 作曲:西川進
ここでの「僕」は兄のエドワードのように思えます。
「君」とは弟のアルフォンスのことでしょう。
一度失いかけた彼がそばにいる事で息ができている…、生きていられるという意味でしょうか。
そして、自分の無力さを嘆いているのでしょうか。
迷わずにこの愛を 信じ生きてゆく
塞がらぬ傷口もぎゅっと抱きしめて
二人は歩き続ける後には戻れないから
今でもこの胸の奥消せない罪は痛むけど
ダーリン
出典: 消せない罪/作詞:北出菜奈 作曲:西川進
サビのこのフレーズは、曲中に何度も登場します。
過去に負った、未だ癒えない傷も抱きしめながら「愛」を信じて生きていく。
母を、身体を失った2人がお互いへの愛情、母への愛情を信じて生きていくという意味に思えます。
「人体錬成」という禁忌を犯した罪を背負う2人。
もう戻ることの出来ない道を、痛む傷を抱えながら歩いていくという決意でしょう。
2番の歌詞はアルフォンス目線?
あの日失った愛情に切なさを覚え
僕は鮮明なこの空の青さに少し戸惑って
例えもし何が犠牲でも 只一つ信じた
君の真っ直ぐな眼に映る刹那に咲いた花の色
出典: 消せない罪/作詞:北出菜奈 作曲:西川進