スピッツ「ヤマブキ」
スピッツ
1987年に結成して以来、今までに16枚のアルバムを発表しているスピッツ。
2017年に結成30周年を迎えても、今だ品質の高いポップスを作り続けている彼ら。
様々な音楽を取り入れながらも、スピッツとしか形容しようがない音楽を作っているのです。
そのブレない音楽性に影響を受けたアーティストも数多く、その存在感の大きさを物語っています。
「ヤマブキ」
今回、ご紹介するのは16th アルバム『見っけ』の12曲目に収録されている「ヤマブキ」です。
スピッツらしいストレートで爽快感のあるロックナンバーとなっています。
「ヤマブキ」は、メロディラインの美しさ以外にも、歌詞の秀逸さが目立つ楽曲です。
今回は、そんな「ヤマブキ」の歌詞の意味を解釈していく記事となっています。
1番
社会からのエスケープ
似たような身なり 似たような能力
群れの中から 抜け出したのさ
出典: ヤマブキ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
前奏が終わった後の、出だしのAメロパートです。
ここでは、社会の中で暮らすことについて描かれているのでしょう。
この歌詞の1行目は、学校や会社といったものを私たちに想起させます。
制服やスーツ、義務教育や資格勉強など。
そういった、ある意味で枠に嵌められるような物事を指しているのでしょう。
また2行目では、そんな社会の仕組みから抜け出すことを描いています。
この歌詞で描かれる主人公のことを指しているのでしょう。
ここからどのように歌詞のストーリーが展開していくのでしょうか。
監視カメラよけながら
夜の泥に染まって走れば 遠くに見えてきた
出典: ヤマブキ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
1行目「監視〜」が指しているのは、社会からの監視の目のことでしょう。
それは、例えば世間体や上司、学校の先生。
身の回りにいる目上の人々や、支配力の大きい存在。
2行目から伝わるのは、主人公の彼がそんな場所から逃げ出す光景です。
逃げ出すといえど、彼は嫌になって投げ出した訳ではありません。
彼には目指すべきものが見つかったのでしょう。
「夜の〜」という部分から伝わるのはその必死さ。
彼は、夜に紛れて息を殺して走っているのです。
そうやって走り続ける中で、見えてきたものとは一体何なのでしょうか。
遠くに見えるもの
あれはヤマブキ 届かない崖の上の方で
ハングリー剥がされても よじ登っていけ
出典: ヤマブキ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
必死に夜を走っている最中、遠くに見えてきたもの。
それは「ヤマブキ」でした。「ヤマブキ」とは春に咲く花の名前です。
ヤマブキ(山吹、棣棠、学名:Kerria japonica)は、バラ科ヤマブキ属(本種のみの一属一種)の落葉低木。黄金色に近い黄色の花をつける。春の季語。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマブキ
「ヤマブキ」は黄金色の花で、日本では山吹色の語源にもなっている花。
その色から、花言葉には「気品」や「高尚」といったものが付けられています。
夜の中を走りながら、金色の光を放つ花の色が見えた主人公。
この歌詞中の「ヤマブキ」が表しているのは、何なのでしょうか。
その色や花言葉から推測できるもの。
それは、主人公にとっての目標や夢のようなものなのではないでしょうか。
そう考えれば、2行目「ハングリー〜」という表現にも納得がいきます。
崖の上に咲いている「ヤマブキ」。
そこへ向かって、泥臭くよじ登っていく。
必死に崖を登る彼に、迷いはありません。
何故なら、彼にはそれを手に入れるという夢があるから。
そんな風景が、爽快なエレキギターの音と共に脳内に広がります。