「おばけ」の心情を綴った斬新な発想
今回ご紹介するのはピノキオピーさんが作詞作曲した「おばけのウケねらい」という楽曲。
ナナヲアカリさんが2017年11月8日に発売したアルバム「ネクラロイドのあいしかた」への提供作品です。
そして、それをあらためて初音ミクバージョンとして発表。
ナナヲアカリさんに似合う「お茶目な可愛らしさ」が溢れる楽曲となっていますよ。
今回はボカロバージョンを中心にご紹介していきます。
登場するおばけに親近感
タイトルどおり、この楽曲の主人公は「おばけ」です。
皆様は「おばけ」と聞くとどんな姿を想像しますか?
白い和装姿に黒髪をボサボサにした女性。
あるいは、海外風に考えるとゾンビチックなボロボロの洋服に傷だらけになった姿。
よく考えると「おばけ」の姿って、テンプレートのように「怖い」と思わせる格好ばかりです。
この「おばけのウケねらい」という曲を聴くと、「おばけ」が人を怖がらせるために多くの苦労をしていることが伝わってきます。
「怖い」と感じる姿をするのも努力のひとつ。
「おばけ」の健気な努力と悩みを歌った楽曲なのです。
そう考えると、何だか「おばけ」が怖いものに見えなくなってきてしまいますね(笑)
MVの「おばけ」にも注目
可愛らしい「おばけ」
「おばけの初音ミク」が次々と心情をネタバレしていきます。
登場するミニキャラの「おばけ」達も可愛らしくて、「怖さ」は感じられないです。
心霊写真が次々と映し出される場面では思わず微笑んでしまいました。
よくホラー番組で「おわかりだろうか…?」と幽霊の映っているところに丸を打って説明していますね。
それの再現をしているのですが、映り込んだ「おばけ初音ミク」はどれも違和感があります。
なんだか「頑張って映り込みました!」という雰囲気を出しているのです。
MVを見るだけでも楽曲のコミカルな世界観が伝わってきましたね。
それでは次は、歌詞の意味を解釈していこうと思います。
「怖い」と思わせたい
リアルな「おばけ」事情?
それ 本気でやってんの
ねぇ おばけを舐めてんの
また 枕元立ってんの
もう 何回やってんの
「ほら、怖がれ」という態度
「怖がって欲しい」という展望
あなたはどっちかな 知らん
神はおっしゃる どっちでもいい
出典: おばけのウケねらい/作詞:ピノキオピー 作曲:ピノキオピー
枕元にお化けが立っているという演出。
寝ているときは無防備になるからこそ、恐怖感が増すのではないでしょうか。
しかし、何度も聞いているうちにその演出にすら慣れてしまった人間の心理もあります。
歌詞から「必死に怖がらせようとしてネタ切れなんです」というメッセージが読み取れますね(笑)
そしてここで登場する「神様」は「おばけ」の事情に無関心なようです。
別に怖がらせても怖がらせなくても、どっちでもいい。
でも、そういわれると困ってしまう『とある問題』が「おばけ」にはあるのです。
「おばけ」のサービス精神
心霊写真は ウケねらい
誰でもわかる ウケねらい
渋い呪いも ウケねらい
玄人に向けた ウケねらい
てっとりばやく 恐怖与えたい
日進月歩 恐怖磨きたい
よそはよそ うちはうち
鬼は外から 福は内
出典: おばけのウケねらい/作詞:ピノキオピー 作曲:ピノキオピー
ここで次々と「おばけ」のぶっちゃけた話が繰り出されます。
どんな層の人にも「怖い!」と思ってもらうために効果的な手段を選んでいるのですね…。
素晴らしいサービス精神です。
「ウケねらい」という言葉には「何とかして注目を浴びたい」という意味合いが感じられます。
とにかく人間が恐怖を感じてくれる方法を磨きたい。
そうやって日々鍛錬を積んでいるのでしょうか。