『スペツナズ』について
まず、『スペツナズ』の収録作品など、基本情報について紹介します。
アルバム『BASIN TECHNO』収録
『スペツナズ』は岡崎体育の記念すべきデビューアルバム『BASIN TECHNO』に収められています。basinには鉢・ボウル・盆地といった意味があります。
岡崎体育の出身地である京都府宇治市は京都盆地に含まれる場所です。そのような背景もあり、彼は自分が作る音楽を「盆地テクノ」と位置づけています。
ポップで親しみやすい音楽性はその「盆地テクノ」という言葉がぴったりです。
岡崎体育の自信作
MVのあるあるを歌った『MUSIC VIDEO』や曲をただ説明しただけなのに盛り上がる『Explain』などがアルバムの中で注目を集めました。
そんな『BASIN TECHNO』の中で、洗練されたサウンドとシリアスな歌詞が格好良い曲が『スペツナズ』です。
岡崎体育自身もまじめに作った自信作であると語っています。それを聞くと「他の曲はまじめに作っていないの?」と思いますが、そんなことはありません。
ライブで盛り上がる曲やファンが聴きたいと思う曲など、役割を考えて作っているそうです。
ここで言っているまじめとは、自分が純粋に表現したい音楽という意味ではないでしょうか。
タイトルの意味は?
タイトルの『スペツナズ』は聞きなれない言葉ですよね。どのような意味があるのか気になるという方も多いと思います。
『スペツナズ』はロシア語で「特殊任務部隊」を意味する言葉の略語です。また、ロシアの特殊部隊の総称としても『スペツナズ』は使われています。
一般的に使われるのは、このロシアの特殊部隊を指す時です。『スペツナズ』はロシア最強の特殊部隊として世界的に知られています。
偵察・破壊工作・暗殺など、表舞台の裏側で暗躍する部隊です。アフガニスタンやチェチェン紛争にも加わっています。
『スペツナズ』の名前を世界中に知らしめたのは、ノルト・オスト事件や学校占領事件です。大勢の人質がいたにも関わらず突入し、犯人たちを殲滅しました。
人質に被害を出しながらも、それを意に介さずに冷徹で完璧に任務を遂行するその姿は『スペツナズ』 の恐ろしさを示すには充分と言えるでしょう。
この特殊部隊をモチーフにしながら、戦いの悲惨さや虚しさを描いたのが岡崎体育の『スペツナズ』です。
歌詞の意味を解釈
戦いの様子が描かれている歌詞
東の空は 混沌と散弾ファイア Just in 潰瘍 散った酸 緩慢対応
変換材料は未発見の地雷原 心臓の底に沈殿しているサイエンス
出典: スペツナズ/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
この場面での「東の空」には、銃弾が飛び交ってさまざまな人や物が入り混じっています。「地雷原」などからも、戦いが想像されますよね。
「Just in 潰瘍」と「緩慢対応」は韻を踏み、人々が怪我を負っている場面の切迫した様子をあらわしています。
「サイエンス」は科学です。それが「心臓の底」に沈殿しているということは、体を巡っていないということになります。
戦いの中では文明や科学は無力だと言いたいのでしょう。
扇動者真似て積み重ねたタイヤ 怒っている街の住民は既にライオット
狂った叫びは報道管制をイグノアー マッシブライアー What a fxxk off
出典: スペツナズ/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
「ライオット」は暴れる人々のことです。外部に情報が漏れることを防ぐ「報道管制」を無視して、怒る人々の叫びが溢れています。
「マッシブライアー」は「massive liar」のことで、直訳すると「巨大な嘘つき」です。国や政治家などを激しく批判しているのでしょう。