シンプルな言葉選びが響く曲
ちょっと昭和のアイドル歌謡な雰囲気もある、アップテンポの王道ポップソング。
「好きなんだ」というストレートなフレーズが耳に残り、一度聴いてしまうと結構すぐに覚えられる曲です。
そして特徴的なのが、所々のメロディーの転調。
そのせいか、なんだか片想いソングに似つかない激しさも感じます。
普通の“片想い”ではない?
なんだかちょっとした違和感も
しかし、単純な片想いの歌の雰囲気とは少し違うような・・・。
片想いというと、どちらかといえば切なさやピュアさがもっと前に出てくるようなイメージ。
ですが「片想いFinally」は何だか「切羽詰っている」印象。
少なくとも高校生くらいの子の普通の恋愛なら、もう少しマイルドな曲調になりそうな気もします。
なんだか気が急いているような、アイドルが歌う“片想い”っぽくないような。
もちろん片想いの中にも激しい感情もあるのでしょうけど、メロディーの高ぶり方が少し大げさにもきこえます。
メロディーの転調も聴きようによっては唐突で、感情の大きく揺れ動く様子が分かります。
二人の関係性も気になるところ
突然だ 恋は 突然
募る思い どこかに
溢れてしまう前に どうしても言っておきたくて…
突然だ 恋は 突然だ
空気を読んで 抑えてた
感情を今 曝(さら)け出す 僕の愛しさは Finally
Yes か No かの Answer よりも
ずっと 胸に貯めてた 君への愛しさを ついに 解禁だ
出典: 片想いFinally/作詞:秋元康 作曲:井上ヨシマサ
そしてよくよく聴いてみると、男女関係にしては不自然なところも多いのです。
“今まで隠してた”なら、なんとなくわかりますよね。
これまで友情で仲良くしていた関係なら、
「意識して避けられるくらいなら、このままでいい」と恋愛感情を隠すこともあるでしょう。
実際に、“友情から上手く一歩踏み出せない”という歌もありますよね。
しかし、この「片想いFinally」では、“空気を読んで感情を抑えてた”と出てきます。
わざわざ“空気を読んで”というのは少し大げさでは?
アイドルらしいポップソングのはずなのに、どうしても「焦っている感情」が気になってしまいます。
曲のテーマは“同性愛”
歌詞をじっくり読んで見えてくるもの
君のまわりの友達は みんなあきれているけれど 僕は一歩だって引かない
ランチタイムが終わっても I love you!
出典: 片想いFinally/作詞:秋元康 作曲:井上ヨシマサ
曲中にこんなフレーズが出てきます。
男女関係の恋愛で、「君のまわりの友達」を気にすることってそんなにないのでは?
たしかにアピールが強すぎれば、あきれられるかもしれません。
でもどちらかといえば、囃し立てられたりすることの方が多いような気もします。
ここでシチュエーションを女子同士と考えてみると・・・。
なんとなく、これまでの違和感にも納得がいく気がします。
もう少し深堀してみると・・・
もっといえば、女子校内での恋愛なのでは?
学生時代の女子同士のグループ関係は、結構複雑なことがあったりしますよね。
恋愛感情なんてなくても、やきもちを妬くことだってあります。
「なんであのグループの子と遊ぶの?」とか、「どうして私には相談してくれないの?」とか。
わりと頻繁に、小さく揉め事も起こったりします。
ただでさえ女子同士の人間関係は複雑なのに、そこに恋愛が絡んだらどうか。
余計にややこしくなるし、修羅場になることが簡単に想像できます。
「同性の恋愛、かつ女子校内での恋愛」となれば、全体的に情緒不安定な曲のつくりにも腑に落ちます。
女子特有の複雑な関係性や感情が見えてきますよね。