SKY-HIが動物たちと一緒に食事をしているシーン。
動物たちは何の疑いもなく、用意された食事を嬉々として食べています。
SKY-HIはそんな動物たちの様子を、一歩引いた様子で見ていますね。
この動物たちは、きっと自分たちが置かれている状況について考えることもないのでしょう。
与えられた場所に住み、与えられたものを食べる。
それが普通だと信じて疑わない。だから、不満すら生まれない。
それは幸せなことなのでしょうか?
確かに不満のない生活は生きやすいかもしれません。
しかし思考の放棄というのは、とても恐ろしいことのように感じます。
禍々しい姿の花嫁
着飾る術ばかり上手くなる
MVの冒頭で突然映し出される花嫁は、まるでゾンビのようなメイクをしています。
このメイクにはどんな意味があるのでしょう?
歌詞を見てみると「自分を着飾る」というフレーズが出てきます。
周囲の目を気にして、少しでも自分を良く見せるために姿を偽る。
そうやって自分を殺していくたびに、醜い見た目に変わっていく。
本当はありのままで十分綺麗だったのに。
自分の本来の魅力に気づけないまま、着飾る術ばかり上手くなっていく人間の愚かさが表現されています。
花嫁と看守
花嫁と同じメイクをしている人物がもう1人。
MVの途中で登場する看守も、花嫁と同じゾンビのようなメイクをしていますね。
おそらく花嫁と看守は同一人物なのでしょう。
自分の愛した人は、自分を檻の中に閉じ込めている人だった。
SKY-HIはそのことに気づいているのでしょうか?
もし、気づいていないのだとしたら残酷ですね。
歌詞では「この監獄の世界を抜けた先で会おう」と歌っているのに……。
彼女を愛し続ける限り、SKY-HIが檻から出られる日はこないのかもしれません。
MVで伝えたかったこと
このMVで伝えたかったことは何か?
歌詞を読み解きながら解説していきます。
こちら檻の中
サビに登場する「ハロー・グッバイ こちら檻の中」というフレーズ。
出会いも別れも、すべては檻の中で経験したこと。
そしてそれは、与えられたものでもあります。
SKY-HIが「ハロー・グッバイ」と呼びかけているのは、きっと外の世界にいる人間に向けて。
檻の中で暮らしている自分を客観的に捉えながら、無意識に外の世界への憧れを募らせているようです。
カギは手の中
同じくサビの歌詞で「カギは手の中」というフレーズがあります。
檻から出るためのカギは自分が持っている。
必要なのは、外に出る勇気だけ。
もし、檻の中で暮らす人生に少しでも疑問を抱いているなら、一度外に出てみませんか?
外の世界には、危険なことや大変なことがたくさんあるでしょう。
傷付いて檻から出てきたことを後悔する日もあるかもしれません。
でも、せっかくカギがあるなら使わなきゃ損。
物は試し。一度くらい檻の外に出てみてもいいんじゃない?
この曲はそう言って、私たちをさりげなく外の世界に誘導しているのだと思います。
最後に
MVにも歌詞にも深い想いが込められている『What a Wonderful World!!』。
聴いていると皮肉の中に前向きさを感じる瞬間がありませんでしたか?
それはきっと、SKY-HIがこの世界に対して希望を捨てていないからでしょう。
どんな世界にも希望はある。
だからこそ、私たちは檻の外に出てみるべきなのだと思います。