ただ傍にいてくれた
風に飛ばされそうな
深い春の隅で
退屈なくらいに
何気なく傍にいて
出典: まちがいさがし/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
心にぽっかり開いた穴や虚無感を、「飛ばされる」と表現している気がします。
今にも消えてしまいそうな自分。
その隣で寄り添ってくれているのは「君」です。
「君」は主人公にとって自然と心を許せる存在なのでしょう。
「何気ない」という表現からは、ありのままの自分を受け入れてくれることが読み取れます。
この程よい距離感が主人公の心を癒してくれるのではないでしょうか。
「間違い」だとしても…
意味を見出す
間違いだらけの
些細な隙間で
くだらない話を
くたばるまで
正しくありたい
あれない 寂しさが
何を育んだでしょう
出典: まちがいさがし/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
今まで経験した数々の間違い…。
間違いに関する記憶の中には、いくつものかけがえのない瞬間が眠っていました。
それは、大切な人々と交わした会話です。
何気ない会話ほど普段は忘れてしまいがち。
でも、今までの自分を支えてくれた心の拠り所です。
何ひとつ無駄ではありません。
自分が正しい人生を歩めているとは思えない…。
このような生き様の中で、焦りや孤独感、自己嫌悪などの様々な感情と向き合ったのでしょう。
最後の行では、一連の負の感情が生み出した「意味」を探っているように感じられます。
何を探している?
一つずつ 探し当てていこう
起きがけの 子供みたいに
出典: まちがいさがし/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
ここで探し当てようとしているのは「間違い」ではない気がします。
日常に溢れる「かけがえのないもの」や「意味」を探しているのではないでしょうか?
そして2行目の表現も気になりますね。
深く悩むほど、前の日の悩みが次の日に繰り越されるようになります。
追い詰められれば目覚めとともに「不安」や「焦り」が湧き上がるでしょう。
でも、これらの感情は大人特有なのだと思います。
子供の頃は睡眠とともに全てがリセットされていました。
一日の始まりは常に新鮮で、輝きに満ちています。
昨日までの「間違い探し」をするのではなく、子供の頃のように新しい何かを見つける。
そんな素敵な考え方を表現しているのではないでしょうか?
「君」のいる人生で良かった
正解よりも大切なのは…
君の手が触れていた
指を重ね合わせ
間違いか正解かだなんて
どうでもよかった
出典: まちがいさがし/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
主人公が見つけた「かけがえのないもの」が歌われています。
「君」と心を通わせ合う瞬間。
感動と幸福と安堵と…様々な感情が入り混じっているのだと思います。
大切な瞬間を経験できたから、自分の人生が間違っていたかなんてどうでもいい。
そう心から言えるのでしょう。
「君」が必要不可欠
瞬く間に落っこちた
淡い靄の中で
君じゃなきゃいけないと
ただ強く思うだけ
出典: まちがいさがし/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
「君」と出会った衝撃を美しく描写しています。
霧は視界を遮り、不安な気持ちを招くもの。
ですがそれに「淡い」という言葉が添えられているのがポイントです。
幻想的で美しい世界感が想像できますね。
今までもこれからも、手探りで生きていくことになるのでしょう。
でも「君」がいるから不安はない。
むしろ、自分の人生には「君」が必要不可欠であることが歌詞から伝わります。