80年代の名曲『Don’t Give Up』について
マイ・フェイバリット・ソングに挙げる人が80年代当時多かった名曲
80年代に洋楽を聴いていた年代の方も知らない方がいるかもしれません。
しかしながら、本楽曲をマイ・フェイバリット・ソングに挙げる人が多いのも事実です。
勇気を与えられる歌詞となっています。
ピーター・ガブリエルとケイト・ブッシュのデュエットです。
失業した男性を女性が慰める歌詞となっています。
当時、イギリスのサッチャー首相の経済政策で、イギリスでは失業率が上昇していました。
そのような背景から、本楽曲が制作されたそうです。
低音のリズムの効いたバラードが、癒やしを与えてくれます。
MVについて行なわれる議論
本楽曲はMVも印象的です。
ピーター・ガブリエルとケイト・ブッシュがずっと抱き合って歌っています。
古めかしい映像ですが、とても印象的です。
ここで、ひとつの議論がなされました。
男性(ピーター・ガブリエル)と女性(ケイト・ブッシュ)が一度も目線を合わせないというのです。
歌詞の内容も、2人がかみ合っていないといわれています。
失業という過酷な状況に、本楽曲の男性は耐えられていないという状況が現れているようです。
ピーター・ガブリエルの切ない歌唱と、ケイト・ブッシュの癒やしの歌声に耳を傾けてみましょう。
さっそく歌詞を紐解いてみましょう
勝ち負けにこだわって生きてきた
In this proud land we grew up strong
We were wanted all along
I was taught to fight, taught to win
I never thought I could fail
出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel
日本語訳です。
競争社会で負けた様子が描かれます。
僕たちはこの誇り高い地に生まれ強く生きてきた
ずっと僕たちは望まれていた
闘い勝つことを教えられ
負けることなど考えていなかった
出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel
「誇り高い地」とはイギリスのことだと考えられます。
ご存じのように、イギリス人は高潔でいい意味でプライドが高いです。
スティングの『English Man in New York』のように…。
そして男性は女性よりも社会的な意味でのプライドがあります。
女性が気づかないレースに参加しているようです。
そういう男性が、社会的な負け=「失業」に追い込まれたらどんな気分でしょうか?
きっと落ち込むと思います。
そうやって幼い頃から教えられてきているからです。
夢破れて失業者に
No fight left or so it seems
I am a man whose dreams have all deserted
I've changed my face, I've changed my name
But no one wants you when you lose
出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel
日本語訳を掲げます。
男性は失業したのでした。
もはや闘うべきことを失い
全ての夢を失った男となった
顔を変え、名前まで変えたが
失脚した者を求める人など誰もいない
出典: Don’t Give Up/作詞:Peter Gabriel 作曲:Peter Gabriel
この男性の絶望は凄いものがあります。
闘う理由を失い、夢をすべて失いました。
さらに、顔と名前を変えたというのです。
顔というのは整形のことではないかもしれません。
「男性の顔」=「肩書き」かもしれないです。
いろいろなことを試したけれど、うまく行きませんでした。
誰からも求められない失業者となってしまいました。
ほぼ全ての人間にとって誰からも求められないことは絶望を意味します。
自分自身を見失ってしまうのです。