何の保証も確実性のない毎日でも、1つだけ確かなことがあります。

それは、今迎えている今日という日は、紛れもなくそこに存在しているということです。

敵うはずもなさそうな強敵を前にして足がすくんでも、今その瞬間は確実にそこにあるのです。

今日という日を迎えているからには、そこから逃げすわけにはいきません。

今だけは確実に目の前にある時間と向き合い、生きるために歩みを進めるのです。

今にも千切れてなくなってしまいそうでも、最後まで手放すなDragon Ashは歌っています。

溢れる思いを闘志に変えて

Dragon Ash【エンデヴァー】歌詞の意味を考察!僕らの世界とは?疑いの無い衝動が秘める力に迫るの画像

取り留めないなら 溢れ出せばいい
この胸をほら 突き上げて
吞み込めないなら 曝け出せばいい
礎をただ 積み上げて

時にきっと純粋なんだ
それでも望むかどうかだろ

出典: エンデヴァー/作詞:kj 作曲:Dragon Ash

日々を闘いの中に置く拳奴といえど、感情のある人間に違いはありません。

生き抜くために気持ちを押し殺したとしても、押し込めきれない時もあるはずです。

しまい切れない気持ちを無理に押し込めることはない

拳奴の悲しさは、自分のために相手を倒さなければならない点にあります。

そうすることで、その人に死が訪れることを知っていてもです。

心が優しければ優しいほど、勝って生き長らえてもは苦しみを感じずにはいられないでしょう。

主人公のセスタスも、きっとそんな苦しみを抱えているのだと思います。

苦しみを苦しみのまま受け止めても、それを慰めてくれる人はいるでしょうか。

誰かの命を奪う悲しみに打ちひしがれていては、次は自分の命がなくなるような状況です。

ならばその苦しみは、前へ進む力に昇華するより他ないのではないでしょうか。

負ければ死ぬという拳闘試合に疑問を持ち、それを変えたいと思っている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/セスタスシリーズ

自分たち拳奴の置かれている状況について、少年セスタスはそのように考えています。

闘いに敗れてこの世を去る人は、決して戻っては来ません。

目下のところ、その運命を変えることは難しいでしょう。

優しく強くもあるセスタスは勝つことに悩み、また安堵し、そんな自分を軽蔑するかもしれません。

様々な思いが渦巻く心は、今にも破裂してしまいそうです。

そうやって心を壊してしまう者もいるでしょうが、彼は違うのではないでしょうか。

心にしまい切れないくらいの気持ちは敢えて溢れさせ、闘志に変えるのです。

今はそれを心の糧にして、よりよい未来を掴むために闘い続けるしかないのでしょう。

純粋な思いを携えて前に進め

闘いを生業とする拳奴だからといって、闘うことを好んでいるわけではありません。

負けたら死ぬという運命に怯え、時には涙を流すこともあるでしょう。

勝って命が長引けば、体中が喜びに包まれるはずです。

誰もが当たり前に持って然るべき喜怒哀楽を、彼らだって持っているということです。

そういう意味では彼ら拳奴もまた、とても純粋であるといえます。

普通の人々が持つべき純粋な喜怒哀楽は、場合によっては足枷になる可能性も。

そういった思いを持ちつつも闘いに挑んでいくかどうかは、個人に委ねられています。

とはいえ拳奴として歩み始めたからには、何があっても進むより仕方ないのです。

不確かさの連続の中で

こうやってか細い糸 手繰り寄せる様に続け
絶望に杭を打て すがり付いて行け
熱情に身を焼き焦がして

出典: エンデヴァー/作詞:kj 作曲:Dragon Ash

【エンデヴァー】も終盤に差し掛かり、さらに気持ちが込められた歌詞が登場していきます。

引用歌詞の1行目にあるように、拳奴たちに与えられた希望は今にも切れそうに脆いものなのでしょう。

天性の闘う才能で強敵と渡り合うセスタスにも、多くの絶望が振りかかったはずです。

そんな頼りないものであっても、利用するしかありません。

絶望は杭を打つように、押し込めていくしかないのです。

闘って生きて自由を勝ち取るという思いは、熱情となって拳奴の中に渦巻きます。

このパートもまた、TVアニメや原作の世界観を強く味わえるようになっています。

自分なりの生き方を貫く

Dragon Ash【エンデヴァー】歌詞の意味を考察!僕らの世界とは?疑いの無い衝動が秘める力に迫るの画像

途方もない時間を 費やすことでしか
進めないならそれでいい
垂れ流すよりも 駆け回る時を
僕らの世界をゆけ

出典: エンデヴァー/作詞:kj 作曲:Dragon Ash

いよいよ、【エンデヴァー】最後のパートとなります。

MVでは、それまで険しい顔をしていた少年がニコッと笑顔を浮かべる、印象的な映像が見られます。

何かが劇的に解決したわけでもないですが、それでも1つの終着を迎えたような気がする歌詞が特徴的です。

どれだけ時間をかけても進むしかない