歌詞を読み通してゆけば、主人公たちの現在の身分が分かりますね。

2人は共に大学生。同じ大学に通う学友なのでしょう。

そしてことさらに友人の優しさを強調しています。

歌詞中に主人公は自分のことを「僕」と表現していますが、どうみてみても女性でしょう。

女性目線で友人のことを観察しています。

きっと友達以上、恋人未満の関係なのかもわかりません。

どちらにしても、主人公にとってかけがえのない「友」であることが2番の歌詞から窺えますね。

友達は恋人?それとも…

息がつまる夏の部屋で
窓もドアも閉め切って
君は汗をかいて
ねむっていたネ
さよならぼくのともだち

出典: さよならぼくのともだち/作詞:森田童子 作曲:森田童子

3番の歌詞は主人公と友達の関係の深さを知る手掛かりとなります。

主人公は友達の部屋に自由に行き来できるようです。

友達といっても異性同士です。男女の関係を意識していたら簡単に行き来できなでしょう。

そうなってくると限りなく恋人関係に近い友人、ということになりそうですね。

主人公は、昼になっても大学に出てこない友人のことが心配で部屋に入ってみました。

それは、主人公が部屋のカギを預けられるほどの存在だからです。

部屋に入った主人公は、暑苦しい部屋の中で汗だくになって眠り続けている友人を発見してホッとしました。

きっと何か虫の知らせがあったのかもわかりません。

どちらにしても、友人の無事を見て安堵する主人公の微笑ましさを感じさせる3番の歌詞でした。

友達は手を出してはいけないものに…

行ったこともないメキシコの話を
君はクスリが回ってくると
いつもぼくに
くり返し話してくれたネ
さよならぼくのともだち

出典: さよならぼくのともだち/作詞:森田童子 作曲:森田童子

4番の歌詞からとうとう物語は破滅への道を暗示するようになってしまいます。

主人公の友達は、こともあろうか違法薬物に手を染めていました。

しかし、主人公自身はそのことをことさら大騒ぎする様子もありません。

いつものように、友達の話を「うんうん」と嬉しそうに聞いているだけなのです。

まるでこの平和な日常が壊れるのを恐れるかのように。

しかし、主人公が以前から感じていた嫌な予感は次の5番の歌詞からいよいよ現実となっていくのです。

2人の運命

豹変していく友達

仲間がパクられた日曜の朝
雨の中をゆがんで走る
やさしい君はそれから
変わってしまったネ
さよならぼくのともだち

出典: さよならぼくのともだち/作詞:森田童子 作曲:森田童子

違法薬物に手を出した友達は、日に日に自分を見失っていったのでしょう。

そして危ない仲間とたむろしていたところを、警察に検挙されたようです。

その場には主人公もいたのかもわかりません。

いけないことだと分かっていながら、「やめて」と言えずに。

とにかく何かが壊れて、音をたてて崩れてしまったことは間違いないようです。

2人の生活は、もう以前のようには戻れませんでした。

サヨナラは突然に

ひげをはやした無口な君が
帰ってこなくなった部屋に
君のハブラシとコートが
残っているヨ
さよならぼくのともだち

出典: さよならぼくのともだち/作詞:森田童子 作曲:森田童子

主人公は冷房もない暑い部屋で、じっと友達が帰ってくるのを待っていました。

今か今かと、部屋のドアに人の気配が感じられることを願って。

しかし、2人の別れは唐突にやってきました。

恐らく警察の関係者が部屋に来て事の事態を説明してくれたのでしょう。

彼は死んだ、と。

心の中で大きな何かが音をたてて崩れ去ってゆくのを主人公は感じました。

あんなに大好きだった友達は、もう2度とこの部屋に帰ってきてくれないのです。

主人公がその夜、人目もはばからず泣き崩れたことを知る人は誰もいなかったでしょう。

本当は愛していたのに

弱虫でやさしい静かな君を
ぼくはとっても好きだった
君はぼくのいいともだちだった
さよならぼくのともだち
さよならぼくのともだち

出典: さよならぼくのともだち/作詞:森田童子 作曲:森田童子