楽曲について
本楽曲は2018年に発表した初のミニアルバム「正しい偽りからの起床」に収録されています。
ずっと真夜中でいいのに。は多くの楽曲やMVをYouTubeにて配信していますが、この楽曲は上がっていません。
アルバムや他の音楽配信サービスを利用することでのみ聴くことができます。
その特徴は深海を漂うようなメロディ。ボーカルACAねの切ない声が紡ぐ物語です。
歌詞に込められた意味を考察していきます。
君と僕
色彩の意味
はみ出してた淡い紺色がずっと
出典: 君がいて水になる/作詞:ACAね 作曲:ACAね
さっそく歌詞を見ていきましょう。
冒頭に出てくる紺色は知性や落ち着きを感じさせる色です。
夜空の色、海の色であることから神秘的な様子やどこか暗い印象を抱かせますね。
少し見方を変えてみましょう。
この色は「濃い藍色」と言い換えられます。
「こいあいいろ」。「こい・あい」、「恋・愛」すなわち恋愛。
紺色が示しているものは恋心ではないかと推測されます。
はみ出した恋心。押さえきれない恋愛感情がこの曲を読み解く上でのポイントとなりそうです。
後ろ暗い関係
僕らの時間を解決させずに 砂を払ったりした
出典: 君がいて水になる/作詞:ACAね 作曲:ACAね
主人公である「僕」は憧れの存在である「君」に恋心を抱いています。
ですが、その関係は純粋な恋人同士とは言い難いものなのでしょう。夜を共にする、それだけの関係です。
中途半端な関係性をはっきりさせることができないまま、ずるずると時間が過ぎていきます。
関係を明確にしようとする度、身体の汚れを払うかのように振り払われてしまうのでしょう。
主人公自ら、その思考を放棄したのかもしれません。
考えとか捉え方も知らないや
朝に齧った憂いで 記憶を眠らせたくて
出典: 君がいて水になる/作詞:ACAね 作曲:ACAね
他人以上の距離感であるはずなのに、この関係を君がどう想っているか主人公は知りません。
隣に君が眠ったまま迎える朝。普通ならば満ちたりているはずの時間に、心に浮かぶのは憂鬱です。
形だけの関係は主人公に心からの幸福などもたらすはずがありません。
それでも、君と側にいれた一時だけは、君は自分だけのものでした。
その時に得た幸福感を抱いたまま、幸せな記憶を閉じこめたい。
本当の恋人同士になって、君を僕だけのものにできたら。そんな主人公の切なる願いが感じられます。
君の側にいたい
どこかにゆくのか 留まる勇気が
試されてるのか 疑うことで信じたい
出典: 君がいて水になる/作詞:ACAね 作曲:ACAね
変わらない関係に見切りをつけて、君の元を離れてどこかに行くのか。
何も変わらずとも隣にいる、それだけの覚悟があるのか。
主人公が想う、君の心です。
形だけの関係に対して君が何も言わないのは、きっと自分をテストしているからだろう。
君の隣にいるのにふさわしいかどうか。ふるいにかけようとしているのです。
そう君を疑うことで、主人公は自分に対する君の気持ちを信じようとします。
テストに合格し、君の期待に添うことができればきっとこの関係が良いものに変わる。
そんな希望を見いだそうとしているのです。
踊りはしないさ 音も無くなれば
手放せた 借りパクしてた 夜弦の月も
出典: 君がいて水になる/作詞:ACAね 作曲:ACAね
君の一挙一動に踊らされる僕を表しているのでしょう。
音の無い世界では踊ることができない。
転じて、君がいなければこんな風に好きに振り回されたりなどしない、となります。
借りたまま返していなかった月。月は弦月、半分の月を表していると想われます。
君に借りていた夜の半分、共に過ごす夜の時間を表しているのでしょう。
借りている、といっていることから本来は別の人の居場所なのかもしれません。
君には本当の恋人がいることを表しているのです。
僕の心が乱れるのは、すべて君の存在が恋しいがゆえです。
君への想いがあるせいで、君との関係を手放せないことを歌っています。