抽象的な歌詞から伝わってくるのは主人公の複雑な心情です。
「色味」というのは何を意味しているのでしょうか。
これは彼の心情に関係しているのかもしれません。
まるで色付くように様々な気持ちが心の中で混じり合っている様を想像させられます。
そしてそんな心境の状態で彼が手を伸ばそうとしたのは、未知の世界。
何があるか分からない世界への憧れが伝わってきます。
そしてそんな憧れを実現するためにがむしゃらになろうとしているのでしょう。
今までしていた格好つけるための嘘もやめて変わりたいと願っている。
彼は新しい世界に希望があると信じているのでしょう。
痛みを受け入れる
優しさを包む痛みも全部
覚えていたくて
出典: 蒼のワルツ/作詞:Eve 作曲:Eve
痛みというのは普通忘れてしまいたいものです。
しかしここでは「優しさ」と関連づけられています。
そのためこれがただの痛みではないことがお分かりいただけるでしょう。
この痛みというのは誰かを好きになることを意味しているのではないでしょうか。
誰かを好きになると距離が近づけようとするため、それだけ苦しみが生まれます。
しかし苦しくてもそれは主人公にとって大切なもの。
だから全て覚えていようとしているのでしょう。
願いが意味するもの
涙を零す
ただ願って願って 生まれ変わっても
不確かな未来を謳っては触れたくて
伝って伝って 頬を流れる
出典: 蒼のワルツ/作詞:Eve 作曲:Eve
主人公はここで切実な想いを吐露しています。
ただ触れたいと歌っているのは、きっと彼にとって大切な人のことでしょう。
彼の片想いなのかもしれません。
もしくは相手に触れられない事情があるのかもしれません。
これからどうなるか分からないけれど、きっと希望的な未来が待っている。
そんな風に考えながら相手のことを想い続けているのでしょう。
そこには主人公の切ない心情が現れています。
大切な人のことを思って止めどもなく涙が出るほど、その恋に真剣であることが伝わってくる表現です。
蒼くなる空
その涙の味は いつかの約束
ただ灰になって 朧げになって
遠く何処かへ この夜を越えて蒼に染まる
出典: 蒼のワルツ/作詞:Eve 作曲:Eve
1行目の歌詞に登場する「約束」はきっと果たされなかったのでしょう。
だからいつの間にか「灰」になり、どこかへと消えて行ってしまった。
涙を流したのはそんな果たされなかった約束を想ってのことなのでしょう。
遠くへと消えて行ってしまった約束を想いながら夜が明けていく。
そんな光景を見ながら主人公は今までのことを思い出しているのでしょうか。
この楽曲のタイトルにもある「蒼」という言葉が印象的です。
朝焼けに染まっていく前の空の色を表現しているのでしょう。
青ではなく「蒼」と表現することでどことなく色の鮮やかさが増すように感じます。
君から離れる
夜もすがら夢を 張り巡らした想いを
見つからないまま 月は影を落とした
寝もやらず明けて 手も離せなくて
憧れる君を 遠ざけてしまった
出典: 蒼のワルツ/作詞:Eve 作曲:Eve
ここでも、先述の歌詞パートから引き続いて「君」のことに言及しています。
主人公の願いは未だに叶わないままであることが分かる歌詞です。
自分の想いを届けられずに、夜が明けていくのを見ているのでしょう。
月も段々と降りていき、太陽が登り始めます。
朝になろうとしているのに眠れずにいるのでしょう。
主人公の葛藤が伝わってきます。
ここで印象的なのは4行目の歌詞です。
具体的に「君」に対して言及しています。
これは恐らく主人公が大切にしている「君」と分かり合えないことを意味しているのでしょう。
何故なら彼は気持ちを伝えられずにいるからです。
だから自分から遠ざけることで苦しみを軽減させようとしているのだと思われます。