泣かないで、ぼくの好きなひと
形のないものばかりを追い求め過ぎたかな
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
「ぼく」の諦めたような言葉が、恋人の悲しみを呼び起こしたのでしょうか。
「ぼく」は恋人を慰めるように歌います。
同時に、恋人を泣かせてしまった原因を考えてもいるようです。
「ぼく」が思いついた原因は、「ぼく」自身についてのものでした。
一方で、「ぼく」はその原因に確証が持てているわけでもありません。
語尾が「~かな」という表現になっており、少しふんわりしているからです。
恋人の涙の理由を、完璧に理解できているわけではありません。
またこの歌詞からは、恋人の心情を考えることも可能です。
恋人の心持ちがポジティブならば、恋人は「ぼく」を励ますこともできたかもしれません。
しかし、今の恋人は感極まって泣いてしまいました。
恋人も、心の中に抱えていたネガティブな思いがあったのでしょうか。
「ぼく」の諦めの言葉で、それが刺激されたのかもしれません。
いかないで、ぼくの好きなひと
愛してる、今も愛してる
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
立ち去ろうとする恋人を、「ぼく」は引き留めようとします。
なぜなら、恋人のことを嫌いになったわけではないからです。
「ぼく」は自分の至らない部分を考えて、恋人を慰めようとしています。
恋人のことを愛しているからです。
「ぼく」が夢に向き合う態度は、過去と現在で変化しているかもしれません。
しかし「ぼく」が恋人に向ける愛情には、変化がないと強調されています。
終わる気配
破綻に気づきはじめる
永遠を誓うにはまだ若い二人の
経験を歌にして暮らす毎日よ
不安定を売りにしたこの舟は
嗚呼もう、沈みかけていたんだね
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
ここで、2人の暮らしぶりについて想像を巡らせることができます。
1番では、「ぼく」は学生ではなさそうだと判断することができました。
だからといって、結婚を考える年齢でもないようです。
2人はまだ若く、人生経験が豊富なわけでもありません。
これまでの長くはない半生で得た経験から、曲作りに励んでいる様子です。
おそらく、経済的にもギリギリの暮らしをしているのではないでしょうか。
深く大きい愛情があっても、それが現実的な問題によってかげってしまうこともあります。
お金や生活の問題は生きることに直結しているので、人の神経をすり減らすものです。
「ぼく」の愛情が変わらなくても、現在の形で同棲を続けるのは難しいのかもしれません。
止まらない涙
泣かないで、ぼくの好きなひと
形のないものばかりを追い求め過ぎたかな
いかないで、ぼくの好きなひと
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
恋人は涙を流し続けています。
これは、1番とは違う原因で流している涙かもしれません。
直前の歌詞から原因を推察することができます。
仮に「ぼく」が、関係の破綻を感じたことを口に出していたとしたら。
「ぼく」と恋人との間に、小さな誤解が生まれてしまいます。
「ぼく」は関係の破綻を感じましたが、それはあくまで「ぼく」の主観です。
恋人も同じように考えていたかは、歌詞から推察することはできません。
もしも恋人は関係を続けようとしていたなら、「ぼく」の言葉に深く傷ついたことでしょう。
それで涙が止まらないのかもしれません。
追い打ちをかけるように、さらなる誤解が重なります。
「ぼく」はここで恋人が流した涙の原因も、自分の夢の方向性に求めているからです。
考える原因が異なれば、慰めの言葉も的外れなものになってしまうでしょう。
誤解は果てしなく深まってしまいます。
そもそもの原因は
「ぼく」の小さな悪意
泣かないで、ぼくの好きなひと
痛みを分け合いながら、わざと傷つけてたな
いかないで、ぼくの好きなひと
出典: two much pain/作詞:はっとり 作曲:はっとり
恋人は「ぼく」を励ますこともできず、泣き続けています。
一体なにが恋人をそこまで追い詰めてしまったのでしょうか。
「ぼく」は過去をさかのぼり、そもそもの原因に気づきます。
すべての元凶は、「ぼく」自身でした。
決して裕福ではない暮らしを、これまで2人で支え合ってきたのでしょう。
人間、いつでもポジティブでいられるとは限りません。
どちらかが気落ちした時は、どちらかが慰める。
精神的にも、2人は互いを補い合ってきたかもしれません。
しかし、ここに「ぼく」の小さな悪意が入り込んでいました。
これまで、故意に恋人を悲しませる言葉を投げかけてきたのです。
「ぼく」がそうせずにいられなかったのは、夢が叶わないストレスかもしれません。
原因がどうあれ、それが恋人を傷付けてしまいました。
「ぼく」の言動の積み重ねが、恋人を追い詰めていたのです。