RADWIMPS「棒人間」

RADWIMPS「棒人間」が綾野剛主演ドラマの主題歌に!歌詞の感想は?の画像

ドラマ「フランケンシュタインの恋」主題歌

RADWIMPSの「棒人間」は、アルバム「人間開花」に収録された楽曲です。

ドラマ「フランケンシュタインの恋」主題歌となっており、RADWIMPSが初めてドラマ主題歌を務めた曲としても話題になりました。

綾野剛さん主演で製作されたこのドラマは、人間の姿をした「怪物」が人に恋をして心情を変化させていく様を描く独特で個性の強い物語に仕上がっています。深い世界観の中でくり広げられる胸が詰まるような人間ドラマが魅力です。

「棒人間」の歌詞はこのドラマの内容を強く意識したものになっていて、人間になりきれない苦悩が生々しく描かれています。

アルバム「人間開花」

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「人間開花」は、2016年11月にリリースされたRADWIMPSのメジャー6作目・通算で8作目のアルバムです。

オリコン週間チャートで1位、年間15位という大ヒットを記録しています。

同じ年にリリースされたアルバム「君の名は。」も年間6位の記録的ヒットとなっており、2016年はRADWIMPSが一際大きな注目を集めた年となりました。

映画「君の名は。」の主題歌として広く知られる「前前前世」と「スパークル」の2曲もこのアルバムのオリジナルバージョンとなって収録されています。

モデルのモトーラ世理奈さんのそばかすが印象的な顔を大写しにしたジャケットも、そのインパクトの強さで話題になりました。

飾らない人間らしい美しさが何の手も加えることなく生々しく写し出されたような、ひと目で記憶に残る印象的なジャケットです。

「棒人間」の歌詞を紐解く

「棒人間」の歌詞主題歌となったドラマの物語と深くリンクしています。

一度は死んだものの実験によって蘇り、120年という長い年月を不老不死の体で1人生きてきた主人公。

自らが「人間ではない」と自覚し、過去の出来事をトラウマに人に近づくことを極端に恐れて暮らす彼の心が変化していく様をドラマは描いています。

この曲の歌詞は、そんな心の変化を丁寧に繊細に歌ったものになっています。

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告白と懺悔から始まる導入

ねぇ、僕は人間じゃないんです ほんとにごめんなさい
そっくりにできてるもんで よく間違われるのです

僕は人間じゃないんです じゃあ何かと聞かれましても
それはそれで皆目 見当もつかないのです

出典: 棒人間/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

歌詞は「怪物」の告白と懺悔の言葉で始まります。

人間に酷似しているけれど人間ではない。そんな立ち位置に立たされて生きてきた怪物。

その場所で長い年月を生きてきた彼には、自分が人間に似ていること自体に罪悪感と気まずさを感じ、悩んでいるような様子が見受けられます。

自分が何者かも分からず、ただ「人間ではない得体の知れないもの」として生きる苦しみが、痛々しい懺悔となって表れています。

周りに決して溶け込めない息苦しさ

見た目が人間でなもんで 皆人並みに相手してくれます
僕も期待に応えたくて 日々努力を惜しまないのです

笑顔と同情と謙遜と自己犠牲、朝起床に優しさと
優に1億は超えそうな 必要事項を生きるのです

出典: 棒人間/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

人間であるヒロイン・津軽継実の影響で少しずつ人と関わりをもっていく主人公。

人の中に馴染み生きていこうとする健気な努力が見えます。

そんな行動の裏では、「自分は人間ではない」という気持ちを大きな枷として抱えたままでいました。

そんな気持ちもあってか、周りに溶け込もうとしてもなかなかそれができないことに息苦しさを感じているように見えます。

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人との間にある壁

しかしまったくもってその甲斐もなく 結局モノマネはモノマネでしかなく

一人、また一人と去ってゆき 人間が剥がれ落ちるのです

大切な人を幸せにしたり 面白くもないことで笑ってみたり
そのうち今どんな顔の自分か わからなくなる始末です

出典: 棒人間/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

ただ人間の姿で人間の行動をマネしてみても上手くはいかず、挫折を経験する主人公。

彼の前に立ちはだかったのは、120年という年月を1人で暮らしていたことによる心の変化でした。

いくら姿形が人間でも、「自分は人間ではない」「自分は人間と暮らすことはできない」と強く信じ込んで長い時間を生きたことで、気づかないうちに諦めの心情を持ってしまっていたのではないでしょうか。

そんな心情が彼に不安をもたらします。