BAD HOP【YAGI feat. T-Pablow, G-k.i.d & Vingo】を解説！

HIP HOP DREAM。

世界中に点在する貧困や生育環境のため夢を持つことを許されない多くの子ども達。

彼らは人生を変えるためマイクとペンを持つのです。

HIP HOP DREAMを体現した憧れの存在はNAS、Jay-Z、EMINEMなど。

日本におけるHIP HOP DREAMの象徴は誰でしょう？

ANARCHY？KOHH？それともMC漢？

確かにこの方たちの生い立ちは壮絶です。

しかし今子ども達にもっとも夢を与える存在はBAD HOPをおいて他にいないでしょう！

彼らの育った街”川崎サウスサイド”の過酷な環境については前回の記事を参照してください。

Jay-Zが語るスラムの象徴である”プロジェクト（貧困地区にある公営住宅）”。

それ以上に過酷な環境で育ったであろうBAD HOPのメンバーたち。

しかし彼らは2018年11月、日本のヒップホップ史に残る伝説を作りました。

23才という若さで日本武道館公演を成功させたのです。

DVD付きの前売り券は即完売。

満員の観客の中にはANARCHYやAK-69の姿もあったそうです。

客演やダンサーを従えずに8人の結束力のみで聴衆を最高潮に盛り上げたというBAD HOP武道館公演。

そこで来場者に無料配布されたのが「BAD HOP ALL DAY vol.2」という作品集です。

彼らは以前にもワンマン公演で作品を無料配布しています。

武道館を即日SOLD OUTできるほどの人気を持つBAD HOP。

なぜそこまでファンサービスにこだわるのでしょう？

かつてT-Pablowは「Kawasaki Drift」でこう語りました。

「川崎生まれで有名になるには人殺しかラッパー」

彼らは様々な葛藤を乗り越え後者を選択しました。

彼らの境遇を知るのは作品を聴くのが一番でしょう。

戦場ジャーナリストのようにゲットーで繰り返される過酷な日常を淡々と言葉にし続ける。

そして彼らは武道館公演という大舞台にに立ちました。

「人として愛される存在にならなければ」と語るのはT-Pablowの双子の弟YZERR。

作品を聴いてもらうために彼らは謙虚な姿勢で努力を重ねてきました。

「こんな作品を作ったので聴いてください」という姿勢。

ライブ会場で作品を無料配布する理由もそれだけです。

しかし「BAD HOP ALL DAY vol.2」はあまりの人気に転売が続出。

そこで彼らはストリーミング配信を決定！

前回の配信曲のように期間限定の可能性もあります。

詳細はBAD HOPのオフィシャルTwitterをチェックしましょう。

すでにBAD HOPヘッズにはお馴染みとなった池上ランドリーを映したアートワーク。

多国籍な人々が暮らす街、池上町の入り口です。

メンバーのBarkが生まれ育った街、「Stay」のMVで映し出された光景。

以前YZERRは2016年の「BAD HOP ALL DAY」が無料の理由をこう語っています。

「人様からお金を取れるほどではなかったから無料にした」

しかし今回の「BAD HOP ALL DAY vol.2」もそうでしょうか？

今回解説する「YAGI feat. T-Pablow, G-k.i.d & Vingo」を聴いてみましょう。

クオリティはむしろ前作「Mobb Life」より高いのでは？

現在YouTubeで公開されているのは4曲。

どの曲も確かなクオリティと自信に満ち溢れています。

トラックも秀逸。

「YAGI feat. T-Pablow, G-k.i.d & Vingo」のプロデュースはMURVSAKI。

KOHHの「DIRTⅡ」で変幻自在のトラックを提供した注目のトラックメイカーです。