パンクバンドの反戦歌

Green Dayが訴えたこと

テーマは「反戦」。アルバム製作中に起こったイラク戦争に対するメンバーの激怒がオペラという形で表現されている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/アメリカン・イディオット

この楽曲は2004年にパンクバンドGreen Dayが発売したアルバムに収録されています。

2004年というと、ちょうどこの前年にはじまったイラク戦争の真っ最中

不安定な社会情勢を目の当たりにしていた彼らは、このアルバムテーマを上記のとおり定めました。

現代人にも通ずる「愚かさ」の意味

そんなアルバムの1曲目に収録された【American Idiot】。

当然ながらこの楽曲からも、彼らがイラク戦争に対して抱いていた憤りを感じることができます。

今回は歌詞和訳しながら、彼らが歌った「愚かさ」に迫っていきましょう。

そこには戦時中の自国民に対する想いだけでなく、現代を生きる人々にも通ずるメッセージが込められていました。

嫌いなもの

おかしい人々

Don’t want to be an American idiot
Don’t want a nation under the new mania
And can you hear the sound of hysteria?
The subliminal mind fuck America

出典: American Idiot/作詞:Billie Joe Green Day 作曲:Billie Joe Green Day

バカなアメリカ人にはなりたくない

新しい熱狂の尻にひかれた国家になんてなりたくないんだ

そしてあのおかしな音が聴こえるかい?

潜在意識はアメリカをめちゃくちゃにするんだ

歌詞1行目から何かを痛烈に批判するような言葉が登場しています。

冒頭でも説明した通り、この楽曲が収録されたアルバムのテーマは「反戦」。

戦争中の人々を見て覚えた危機感を伝えるべく、このような歌詞を綴ったのでしょう。

大きな声

続く2行目、「mania」は熱狂と訳しました。

感情的な表現ですが、メディアを利用して人々を扇動した政権を意味しているとも捉えられそうです。

そして続く3行目。「sound」とはまさに大衆の声世論といったところでしょうか。

その情報が正しいか間違えているか、正義か悪かに関わらず、1度話題に火が付けば鎮火するのは容易ではありません。

周りの人たちに触発されて「じゃあ自分も…」と声を上げる人が増えれば増えるだけ、それは新たな信者を増やします。

そうやって知らぬ間に「大衆の声」になってしまったことは、4行目にある通り人々を洗脳していくのです。

異様な空気

ここはまるで…

Welcome to a new kind of tension
All across the alien nation
Where everything isn’t meant to be O.K.
Television dreams of tomorrow
We’re not the ones meant to follow
For that’s enough to argue

出典: American Idiot/作詞:Billie Joe Green Day 作曲:Billie Joe Green Day

新たな緊張感のもとへようこそ

あの異国全体で

全部がうまくいくことなんてないんだ

テレビは明日を夢見ている

ぼくらは従うつもりなんてないけどな

やりあう余地なら充分にあるだろう

正しいかもわからない意見に染められた国家は、客観視できる人たちからすると異様な空気を放っているのでしょう。

2行目「alien」と聞くと、多くの人は地球外生命体を思い浮かべるかもしれません。

もちろん現在はそのような意味で使われることが多いのですが、本来の意味は「foreigner」と同義です。

つまり直訳すれば「外国人」ということ。

ですが、根拠もなく1つの意見にすがる人たちはまるで自分たちとは違う…まさに宇宙人のようだ!

Green Dayはこんな気持ちから、あえて「alien」と表現したのかもしれません。

彼らはそんな宇宙人たちと正面からやりあう覚悟を決めているようにもみえます。