平井堅のノンフィクション、歌詞が意味深すぎる。。。

そして歌詞は再び「あなた」の心情を語っていると思われる場面に移ります。亡くなった友人は何かの夢に敗れた経験のある人だったのでしょうか。

望む場所にいられず、それをただ外から眺める。かつて夢を追っていた、それを諦めて大人になった多くの人が経験している悔しさだと思います。夢に敗れて命まで手放してしまう人も少なくない中、この歌詞では「生きることを諦めきれずにいる」という言葉があります。

ただ諦めが綴られた出だしの歌詞とは違い、ここには生きようとする一筋の希望が見えます。それは友人に対して平井堅が望んだ違う結末なのかもしれません。そして、今同じような心境にいる他の人たちはこうあってほしい、という訴えにも思えます。

この曲で一番印象的なのは、それぞれのサビで人生そのものに対して訴えかけてくる言葉たちでしょう。生きる意味は何なのか、生きようと思える理由は何があるのか、そんな問いを鋭く突きつけてくることで、自分は何のためになら生きていけると思えるのかをふと考えてしまいます。

生きることは辛いのか、生きる理由に夢やプライドが本当に必要なのか。ただ「生きる」ということの尊さや素晴らしさを伝えようとしているような歌詞です。

そして曲中では一貫して「会いたいだけ」というメッセージが叫ばれています。それは「あなた」に対する生きていてほしかったという訴えなのでしょう。「生きていればいいことがある」というポジティブでありきたりな励ましは一切なく、ただ自分が会いたいから生きていてほしい、という言葉。シンプルだからこそ、無条件に存在そのものを全肯定して求めるメッセージに救いが見えます。

大きな夢や立派な生き様なんて必要なく、ただ自分に会いたい人と思ってくれる人がいる。それだけで生きていく十分な理由になるんだと気づかされます。

友人である「あなた」の心情を映し出した歌詞と平井堅自身の気持ちを表した歌詞。その両方が絡み合いながら歌われるこの「ノンフィクション」は、かつてないほどストレートで、かつてないほど力強いメッセージを持った人生の歌です。

応援するでもなく励ますでもなく、ただ存在や人生を受け入れて認める言葉の数々に救われた人や感動した人も多いのではないでしょうか。

そしてそんな曲の裏にあるエピソードを知ると、曲の説得力がさらに増して心に響いてきます。人生に疲れてしまったとき、生きる意味を見失いそうになったとき、少し立ち止まってこの曲に触れてみてください。きっと救いがあるはずです。