【東京事変/秘密】
誰でも生きていれば秘密を持つようになります。
子どもが持っているような小さな秘密から、政府高官のみが知るトップシークレットまで人それぞれです。
その中でも男女の「秘密」をテーマにしているのが本曲となります。
「秘密」は東京事変から2006年にリリースされた「大人(アダルト)」に収録。
ジャンルとしてはピアノ・ハードロックになるでしょう。
それらと椎名林檎のセクシーな声が合わさって、一つの世界を作り上げています。
「秘密」と聞いて皆様はどんなイメージを持つでしょうか?
人によって様々でしょうが、共通しているのはドキドキ感だと思います。
バレるかバレないかの瀬戸際になるほど、人は興奮してくるのです。
歌の中の彼女も、ある意味それを楽しむために秘密を持っているのかもしれません。
初期の東京事変が感じられる
H是都Mが脱退を表明。新たに伊澤一葉の加入が決まった。またその間に晝海幹音もソロ活動に集中するために脱退することになり、代わって椎名の以前からの知人であった浮雲が参加することとなった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/東京事変
脱退したのは、キーボードとギタリスト。
どちらも他の音楽活動が忙しくなり、東京事変との両立が難しくなったためです。
当時はファンの間でも脱退に対して、惜しまれる声が多く上がっていました。
メンバー編成のこともあり、本曲はライブ時とアルバムでは楽曲のテイストが大きく変わっています。
ライブツアーのときは、本能と荒々しさが入り混じる野性味あふれるテイスト。
一方でアルバムの「秘密」はクールさが増しており、狡猾でずる賢い雰囲気です。
どちらが好きかは好みが分かれるところですが、一曲で2度楽しめる稀有な曲となっています。
歌詞解説スタート
彼女の相手は獣
何にも云(い)いたくない
今宵の口は猛威を奮っている獣を捕う
教科書通りの慣用句などは止めて・・・
虚しいだけ
出典: 秘密/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
歌詞を紐解いていくと、どうやらこの歌は男女のいけない秘密を描いているようです。
彼女は何かを言いたくないと歌っています。
気になるワードではありますが、これが何を指すのかはもう少し先でお話しいたしますね。
そして彼女のお相手をするのが「獣」です。
ここでの獣は社会的に権威がある人物を指しているのでしょう。
ただし獣と評されている通り、昼は真面目そうでも夜は本能のおもむくがままといった人物です。
そんな人の秘密を持っていると、彼女は告白しています。
秘密を握られている人物からしたら、これほど恐ろしいことはありません。
「その秘密を潰すのにいくら欲しい?」や「金ならいくらでも払う」などのセリフは彼らの常套句でしょう。
しかし彼女はそんな教科書に載っているような、セリフを聞きたいわけではありません。
彼女が求めるのは何か、次の歌詞を見ていきましょう。
夜に食べられるとは
此処へ来てさあ早く
夜に食べられちゃあ勿体無い
誰も知らない内に
現在(いま)だけの素肌 引っ掻いてみて
出典: 秘密/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
「此処」とは彼女の元を指しているのでしょう。
彼女が、彼のことを待ちきれない様子が表されています。
ここまでくると、何となく彼女たちの関係が分かってきます。
「秘密」のタイトルが示すように、彼女らはいつでも会えるような関係ではありません。
不倫に近い関係または、不倫をしているのでしょう。
そして歌詞の冒頭にあった「彼女が言いたくない」と語っていた理由が浮き彫りになってきます。
つまり彼女は世間的な説教を言いたくなかったのです
もっと端的にいえば「不倫はダメ」や「浮気は許せない」ということでしょう。
彼女は体裁を気にせずに、今を楽しもうとしています。
せっかく彼と会えるチャンスがあるなら、それを逃す手はありません。
夜になったからといって、そのまま寝てしまったら勿体ないと歌っています。
なぜなら、現在(いま)の私は現在だけのものだからです。
彼に対して「今の私を肌で感じてみたくないの?」と誘惑しています。
彼女は彼と肌を重ねたいのです。