「Baby, Don't Cry」はGotchが港町を歩くMV

MVの舞台はどこかの田舎にある港町です。パーカー姿のGotchが登場し、自ら運転して港に到着します。
まだ早朝で寒いらしく、両手をこすり合わせたり息を吹きかけて暖を取るシーンが印象的です。
2:20から流れる間奏では8mmフィルムカメラで撮ったような動画が挿入されています。ボヤけ具合や引っ掻いたような傷のヴィンテージ感がたまらない、味わいのある映像です。
Gotchが船着き場を歩いているうちに日は暮れて、港町は寝静まります。そして次の朝が訪れていつもと代わり映えのない一日が始まっていくのです。
時折挟まれる「らららららーらー」のコーラスが、人々の日常との一体感を演出しています。
それでは、気になる歌詞を前半と後半に分けて解釈していきます。
「Baby, Don't Cry」の歌詞前半を徹底解釈
田舎と都会の落差が鮮明に描かれる
錆びついた田舎の町で
少女は退屈を煮詰める
出典: Baby,Don't Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
田舎には若者が楽しめるような娯楽はなく、目にうつるのは山か海ばかり。
空気が綺麗で緑があって通勤ラッシュがなくて平和だと喜ぶのは、もっぱら都会の競争社会で疲れ果てた人々の感想のようです。
家族に囲まれて仲が良くても、そこに若者の望む刺激や変化はありません。
少女が田舎町で煮詰めているのはジャムではなく退屈な気持ち。
それもそうかもしれません。
彼女にとって夢をかなえる場所は田舎ではなく、テレビの向こう側に覗く都会なのですから。
型落ちの小さな軽自動車
飛ばせよ 真夜中の国道線
出典: Baby,Don’t Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
田舎で実用的な車といえば、燃費が良くて小回りがきく軽自動車。
飽きたからと言ってすぐさま新車に乗り換えたりもしませんし、大事に使います。
もし外車や派手なスポーツカーに乗っていれば、都会人だとすぐに気づかれるでしょう。
都会から田舎へ向かう時、飛ばす道は夜の高速道路です。
昼間は見える山や海も夜は闇に紛れており、進んだ先は真っ暗な田舎道なことも。
真夜中でも煌々と明るい都会との環境の違いを感じます。
背の高さは努力しようがない
海沿いのコンビニエンスストアで
少女は遺伝子を恨む
八頭身の女の子たちに
混ざる日を想い描いている
気まぐれな神のイタズラさ
出典: Baby,Don't Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
八頭身の女の子とはモデルの人を指していると推測されます。
最近は小学生でもスラッと細長い脚をしたモデル体型な子供が増えてきました。
おしゃれに興味を持つ年頃になると、女の子はファッション雑誌で勉強したり、ダイエットに励んだりと自己改造に向けて努力します。
しかし骨格に関しては遺伝が影響しており、高身長で八頭身は望んでなれるものではないのです。
人間の手の届かない領域であり、まさに神のイタズラと言えましょう。
Gotchからのささやかな励ましが心に染みる
後戻りはできないけれど
悲しまないで笑ってよ Baby
出典: Baby,Don't Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
後悔すること。受け入れたくない現実。
これまでも、これからも、人生の中でたくさんやってくるでしょう。
過去に戻ってやり直すことはできないけれど…
Gotchは「悲しみを引き摺るよりも笑顔でいよう」と元気づけます。
君の日々はどうだい?
僕のこの頃は ボチボチだよ Baby
出典: Baby,Don't Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
「最近どう過ごしてる?」と問いかけるGotch。
そんなGotch本人は、可もなく不可もなくといった暮らしを送っているようです。
有名ロックミュージシャンともなれば人気者ですし、ステージでは脚光を浴びて華やかな仕事のように思えます。
しかしGotchはステージから降りた日常を大事にしているようです。
「ボチボチだよ」と返すあたりから、地に足の着いた生活感が伝わってきます。