夜風が鼻を擽った この胸の痛みは
気のせいだ
わかってた わかった振りをした

出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna

冷たい夜風が鼻をかすめた時に、ふと思い出したのです。

自転車で駆け巡った幸せな日々を。

それと同時に、幸せな日々がもう思い出になってしまったことを知らせたのです。

主人公は大切な人を失ったことを信じまいとしてきました。

しかし、この夜風に全てが思い出になったことを実感させられたのです。

空っぽの胸がチクリと痛んだのでした。

意味深なサビ

忘れたくない

最低だ 最低だ
僕の全部最低だ
君を形に残したかった
思い出になんてしてやるもんか

最低だ 最低だ
気持ちよくて仕方がないわ
最低だってこの歌詞自体が

出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna

サビではいきなり自分のことを「最低」と連呼しています。

一体何が最低なのでしょうか。

大切な人のことを忘れたいと思ってしまった自分が最低なのかもしれません。

大切な人に今でも生きていて欲しかったのです。

なのに主人公を置いて旅立ってしまった大切な人。

忘れたいと思っていたけど、絶対に忘れてやるもんかと少し強くなれたのでしょう。

思い出になんかさせない、今も心の中で生きているのです。

そのことを夜風が思い出させてくれて、なおかつ現実に引き戻してくれました。

そのおかげで、一歩前に踏み出すことができたのです。

ロック

人生、二十七で死ねるならロックンロールは僕を救った
考えるのもやめだ!
どうせ死ぬんだから
君も、何もいらない

出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna

もしも、27歳で死ねるのであれば、音楽は主人公を救ってくれたでしょう。

しかし、そんなことを考えていては進めないのです。

1度は捨てたものに頼ろうとしても進めない。

人間、皆いつかは終わりが来るのです。

1度きりの人生に、もう大切な人も音楽も何も必要ないのです。

あとは、信じられるものは自分だけ。

狭心

プライド

心臓が煩かった 
笑うほど喉が渇いた
初めて心を売り出した
狭心もプライドも、もうどうでもよかった
気に食わない奴にも頭を下げた

出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna

笑ってしまうほどに喉がカラカラになってしまっている主人公。

初めて自分の殻に閉じこもって、辛さもプライドも全てどうでも良いのです。

全てを捨てて、投げ出したい。

ムカつく奴にも理不尽な奴にも頭を下げる生活から抜け出したい。

そんな主人公の気持ちが読み取れます。

胸にしまう

八月某、あの頃の景色を跨いだ
ストックホルムの露天商、キルナ、ガムラスタンは石畳
君だけを胸に仕舞った
この空の青さも気の所為だ
笑ってた、笑った顔のまま

出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna