ストックホルムとはスウェーデンの首都のことです。
キルナはスウェーデンの最北端の都市であり、ガムラスタンはストックホルムの旧市街。
大切な人と昔行った、スウェーデンのことを思い出しているようです。
しかし、その思い出の中の大切な人の部分だけを切り取ります。
そして心の引き出しにそっと仕舞い込んでしまうのです。
そう、大切な人を思い出として胸にしまうことにしたのでした。
この空の青さは、実際に空が青いのではなく
「青い空が見たい」
という自分の願望から作り出されたものではないでしょうか。
その偽物の青空を見ている主人公はまるで空っぽかのように笑ったままでした。
全てが馬鹿らしい
最低だ 傲慢だ 君もみんな貪欲だ
ドラマチックな歌も愛もさぁ、馬鹿らしくて仕方がないわ
知っていた知っていた
君の人生、君のものだ
最低だっていくら叫ぼうか
出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna
周りの人は皆、全てに貪欲なのです。
貪欲とはつまり、欲が深いということ。
それでいて、傲慢なのです。
人を見下し、侮り、欲が深い。
そんな風に生きている人間なんて皆最低なのでしょう。
きっと、主人公の目にはそう映っているのです。
人々を喜ばせるドラマチックな愛や歌はもはや意味も価値もありません。
そんな人たちに「最低だ」といくら叫んでも届かないのです。
自分の人生は自分のもの、人の人生は人のもの。
誰かの人生の軌道を変えるのは不可能なことでしょう。
主人公はこれに気付いてしまったのです。
賛美歌
神様はいない
そうだ、きっとそうだ
あの世ではロックンロールが流れてるんだ
賛美歌とか流行らない
神様がいないんだから
罪も過ちも犯罪も自殺も戦争もマイノリティも
全部知らない
出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna
あの世とは、大切な人が先に旅立ってしまった先の世界を指しているのではないでしょうか。
その世界には神様もいないため、賛美歌なんて流れないのです。
賛美歌が流れない代わりに、大切な人が好きだったロックンロールが流れています。
主人公を置いて行ってしまった彼は、あの世で楽しく過ごしているのでしょうか。
こちらの世界で起こっている犯罪などの人類の過ちは見て見ぬ振り。
社会的少数派の人たちが暴れても見ないふり。
全てに目を背けているのでしょうか。
エルマ
最低だ 最低だ 別れなんて傲慢だ
君の全てに頷きたいんだ
そんなの欺瞞と同じだ、エルマ
最低だ 最低だ 愛おしくて仕方がないわ
ドラマチックな夜で僕を悼みたい
出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna
ここにきて、初めて「エルマ」という言葉が出現しました。
そう、この曲の主人公が想っている大切な人とは「エルマ」という人物なのです。
この曲は、ヨルシカの楽曲である「エルマ」や「パレード」と関連の強い曲なのでしょう。
この主人公はずっとこのエルマを胸に生きてきたのです。
あまり聞きなれない言葉、「欺瞞」。
こちらは、人の目をごまかす、欺くといった意味があります。
傲慢なエルマに対して、傲慢なところさえも認めたいのです。
しかし、そんな気持ちは欺瞞でしかない。
主人公のそんな葛藤が見られます。
最低なはずのエルマがやはり愛おしく、そんな自分は死んでしまえとまで思えてしまうのです。
人生
人生は月明かり
最低だ 最低だ 言葉なんて冗長だ
君の人生は月明かりだ
有りがちだなんて言わせるものか
最低だ 最低だ 笑われたって仕方がないわ
最低なんて語呂だけの歌詞だ
出典: 八月、某、月明かり/作詞:n-buna 作曲:n-buna
主人公にとって言葉など無駄なものにしか過ぎないのです。
言葉は無駄だけど、言葉などなくてもエルマの人生の素晴らしさは伝わる。
主人公はそう考えているのかもしれません。
どこにでもありがちな人生だったなんて誰にも言わせない。
エルマの人生は特別で素晴らしかったんだ。
そう思っているはずです。
しかし、この曲。
サビになると「最低だ」と連呼しすぎですね…。
でも、これほどまでに「最低だ」と叫んでしまうほどだったのでしょう。