そんな世の中の空気に毒された主人公は「夢を追い掛けているなんて滑稽だ」と笑う様子を覗かせます。
「上品な言葉」というのは、きっと周りに合わせた当たり障りのない言葉のこと。
つまり夢を追う少数派に向けられた心無い言葉とも取れます。
対して「待って焦って足掻いた」というのは夢を追う人を表したもののように感じますね。
夢が叶うのを待って、なかなか叶わないことに焦って足掻いている…といった感じでしょうか。
まるで夢を描くこと自体がエゴだとでも言うような口ぶりでまくし立てています。
少年は足を失ったダンサー?
あなたは言った消耗品さ
だけど私は まだ考えてるわ
いつかまた こうやって
踊ってやってくれないか
出典: ラストダンス/作詞:Eve 作曲:Eve
印象的なのは「あなたは言った消耗品さ」という部分。
これは何を表したものなのか。
ここの部分、MVでは主人公の少年の足が包帯が巻かれるかのように現れていました。
このことから察するに消耗品とはきっと少年の足のこと。
彼はなんらかの理由で足を失い、それを黒幕に治してもらったのです。
けれど治してもらった足も消耗品で、いつかはダメになってしまう。
そのことから主人公は夢を諦めようとしていたのではないでしょうか。
そして歌詞の内容から見ると主人公の夢はダンサーのようですね。
こんな現実を突きつけられては、夢を追う人を悪く言ってしまう気持ちもわかります。
世の中に蔓延していた夢なんて叶いっこないという空気とは、「現実は残酷なものだ」というようなものだったのですね。
そして主人公は夢を諦めようとしていますが、ここで「まだ考えてる」と言う人物が登場しました。
それはMVで踊っていた長髪の少女の言葉でしょう。
主人公が夢を諦めたと言っているのに対して、まだ諦めていない彼女は一体何者なのでしょうか?
事実よりもどう思っているかが大事だと説得する少女
辛気を纏った 少年少女
憂さを晴らした イエスマン患者
誰も何者でもないもの
真意を知れば最後になるならさ
舌が乾くまで話そうぜ
出典: ラストダンス/作詞:Eve 作曲:Eve
「辛気を纏った少年少女」とは、夢を諦めるか否かで葛藤するこの2人のこと。
「憂さを晴らした イエスマン患者」はもう無理だと諦めてしまった方が楽だと思っている少年のことではないでしょうか。
そしてそこから「誰も何者でもない」と来ます。
これは少年が諦めたようでいて、まだ諦めきれていないことを物語るものです。
「真意」というのは少年が今後どうなってしまうのかということ。
それを知ってしまえば諦めないわけにはいかなくなってしまいます。
それでも、そんなことはどうでもよくて、少年がどう思っているのかが大事だとでも言うように、少女は自分ととことん話し合うように促すのでした。
夢を追っていたあの頃を馬鹿だったと笑う
虚勢を張って 自分を失った
虚言を吐いて 幻になった
馬鹿になって 宙を舞って
したらもう 壊れてしまいました
出典: ラストダンス/作詞:Eve 作曲:Eve
夢を語っていたこと自体が馬鹿なことで、あの頃の自分は自分を見失っていたと語る主人公。
案の定語っていた夢は、まるで虚言のように幻になってしまったといいます。
「馬鹿になって宙を舞って」というのは、ダンスに励んでいた自分を馬鹿だと笑う様子。
その結果足をダメにしてしまうことになってしまったのでしょうね。
MVでもその足がボロボロに崩れていくような描写が登場していました。
自分はどうすれば良かった?
純粋で透明な少年のさ
感情に魔を差してやってんのさ
思い出して思い出して考えては
辿り着きさえもしないや
出典: ラストダンス/作詞:Eve 作曲:Eve
「純粋で透明な少年」とは、夢を語っていた以前の自分のこと。
その頃を思い返して当時の自分はどうすれば良かったのかを考えているといったところでしょうか。
しかし考えてもその答えに辿り着くことは出来ない…そんな葛藤が描かれていますね。
少年の本心に辿り着こうとする少女
あなたが言った 本当の意を
世界の片隅で考えてるわ
冷えきった 嘘さえも
溶かしてやってくれるのなら
出典: ラストダンス/作詞:Eve 作曲:Eve
ここでまた例の少女の登場です。
「あなたが言った本当の意」とありますが、「冷え切った嘘」と言われているように、これは少年が夢を諦めたと言っているのが本心ではないことを表しているように感じます。
その嘘を自分と話すことで紐解いて、本音に辿り着こうというのが少女の思惑なのでしょう。