ダブルミリオンを達成した名曲「I'm proud]
1996年に発売、華原朋美のデビューから3枚目のシングルにして、ダブルミリオンを突破した名曲「I'm proud」。
華原朋美の高音の美しさと滑舌の良さ、音域の広さを存分に活かしたこの曲は、プロデューサーで、この曲の作詞作曲者である小室哲哉にとっても奇跡のような曲だと当時語っています。
当時まさに飛ぶ鳥を起こす勢いで音楽界に”小室ブーム”を巻き起こしていた小室哲哉。
プライベートで小室哲哉の恋人であったという華原朋美は、一緒に行ったカラオケで小室哲哉にその才能を見出されます。
そこから華原朋美の歌手人生はスタートしました。
小室哲哉の理想の表現者
華原朋美の歌声を聴いた小室哲哉はその倍音を豊かに含んだ素晴らしい声質に惹かれ、彼女を歌手として育てることを決意。
また乗馬を趣味とし、肺活量や基礎体力にも恵まれていた華原朋美は、小室哲哉にとっても自分の作品の表現者として申し分ない存在であったようです。
華原朋美が歌うのであれば、曲を制作する際に、歌手にとっての歌いやすさなどを考慮することなく自由に制限なく楽曲制作ができたと語っています。
五本の指に入る傑作が完成
作曲者にとって、最高の表現者を手に入れた小室哲哉は、彼の歴代の作品の中でもベスト5といってもいい程の力作である「I'm proud」を完成。
この曲の空前の大ヒットによって華原朋美は一気にトップ歌手の仲間入りを果たします。
カラオケでも大人気!
あの名作映画がモチーフに?
この曲の制作にあたって小室哲哉は、”風と共に去りぬ”をイメージして制作したといいます。
”風と共に去りぬ”は、南北戦争を舞台としたマーガレット・ミッチェル作の長編小説です。
気性激しく、大きくうねる時代の波に翻弄されながらも誇り高く、たくましく自分の人生を生き抜く南部女性、スカーレット・オハラの半生を描いた壮大な物語です。
小説は大ヒットし、ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブル主演で映画化されました。
1939年公開、この時代としてはとても画期的であったテクニカラー映画で、巨額の費用をかけて制作されたこの映画は世界的に大ヒットを記録しました。
1940年の映画界の権威、アカデミー賞においては主演女優賞、助演女優賞を始めとする9部門を受賞する快挙を達成。
現在でも往年の名作として映画ファンに大きな人気を誇る作品であり、現在でも映画館で上映されることがあります。
歌詞の世界を検証
”風と共に去りぬ”をイメージして創られたという、この「I'm proud」の歌詞を見ていきましょう。
Lonely くじけそうな姿 窓に映して
あてもなく歩いた 人知れずため息つく
I'm proud 壊れそうで 崩れそな情熱を
つなぎとめる何か いつも捜し続けてた
出典: https://twitter.com/RecordAwardBot/status/936784938447249408
失恋してしまったのでしょうか、それとも何か、人生にくじけてしまいそうになりそうなことがあったのでしょうか。
都会の喧騒で賑わう街中を、うつむきながら歩を進める女性。
傍からは打ちひしがれて、いかにも頼りなさそうに見えるかもしれませんが、彼女の中には今にもくずれてしまいそうなもろさを持ちつつも熱い情熱が渦巻いています。
それを受け止めてくれる何かを探して、都会の波を彷徨います。
どうして あんなに夢が
素直に見れなくなってた?
街中で居る場所なんてどこにもない
体中から愛がこぼれていた
出典: https://twitter.com/RecordAwardBot/status/926623001994346498
幼いころはきっと誰もが持っていただろう夢。
他愛のないものもあれば、真剣にかなえたいものもあったはずです。
でも成長して、現実が嫌でも目に入るようになって、夢を忘れたり、あきらめてしまうこともあったでしょう。
夢そのものが存在しなかったかのように、自分に思い込ませているのかもしれません。
夢を失った、希望を失った彼女は、この都会で居場所を見つけることができません。
夢とともに、愛すらも失われていくかのように孤独を感じているようです。