期待の大型ユニット”UPSTART”

UPSTARTは2021年1月にデビューシングル「才能」の配信を開始しました。

メンバーダンス&ボーカルグループDa-iceの一員である花村想太。

そして登録者が400万人を優に超える人気YouTuberのヒカルにの2人です。

デビュー直後から若者を中心にバズっており、SNSでは話題の中心になることも多いでしょう。

今回はそんな2人の2曲目のシングル「ペルソナ」歌詞の意味を解説していきます。

普段から世間をにぎわせている2人のユニット活動に目が離せません。

是非最後までお読みください。

ポップな世界観と深みのある歌詞

寝られない夜と光るディスプレイ

いつまでも気づかないフリ
寝息と聴き耳立てて
もう飽きたよ 数分刻み光るディスプレイ

出典: ペルソナ/作曲:花村想太,Louis 作詞:ヒカル,花村想太

現代のミュージックシーンに欠かせないシーケンサーをフル活用した打ち込み系のイントロが心地よく響きます。

ポップなリズムに乗せた軽快なブラスサウンドが印象的です。

フレーズの中に寝息とあることからシーンは夜であることが想像できます。

気が付かないふりをしているのはおそらく自分でしょう。

“寝息と聞き耳”とあることから寝息をたてている人物が近くにいると思われます。

彼女か、友達かそれとも何かを比喩しているのか今の段階では不明です。

ディスプレイは通常、数分刻みに光ることはありません。

おそらく、窓の隙間から差し込む車のライトや街の明かりを反射させているのでしょうか。

真夜中の静かな室内の中でも街の喧騒を感じさせる抒情的な歌詞ですね。

“もう飽きた”とあるくらいディスプレイの光を見ている=寝られない状態が続いているのでしょう。

まるで小説のように短い言葉で場面を想像させています。

悪夢のような地獄は僕と君だけの世界

愛=憎悪 胸に刻んで
I don't know 君の素顔
こんなにそばにいたのに
僕が手招いて 悪夢のような
地獄でまた逢おう 抜け出せない
色を失った世界

出典: ペルソナ/作曲:花村想太,Louis 作詞:ヒカル,花村想太

ここではボーカルの2人が口語にフレーズを口ずさんでいきます。

短くフレーズを区切って1つ1つの単語を印象付ける表現です。

愛と憎悪の母音はaiouoとなっているのが分かります。

それに対してI don’t knowの母音はaio(n)ou。

さりげなく韻を踏んでいるのがおしゃれですね。

また愛と憎しみは紙一重。

昔から言われている真理的な表現です。

しかし君の素顔、つまり心の中が分からないという想いにも触れています。

近くにいるのにパートナーの心が分からない現状を嘆いているような文章です。

悪夢のような地獄とはどのような場所でしょうか。

地獄とは元々悪夢のような場所のことです。

単純な強調のための2重表現でしょうか。

私はこう解釈します。

悪夢のようということは、悪夢に似ているが悪夢ではないという意味と同じです。

つまり夢ではない、本当の地獄での再会を示唆しているのではないでしょうか。

もちろん地獄というのも何かを比喩している表現で、それが“色を失った世界”に他なりません。

色を失う。

色がない。

暗闇かもしくは白黒・モノトーン・1色の世界、色という概念が存在しない世界とも解釈できます。

そして出口がないので帰れない。

まさに悪夢のような世界観です。

しかし、地獄でまた会おうとも書いてあります。

会うということはそこには少なくとも自分と君の2人がいるということです。

これは2人だけの世界を指しているのではないでしょうか。

愛=憎悪とあるように、悪夢のように歪んだ憎しみの世界は愛のあふれる2人だけの空間でもあるのです。

終わりのない世界で共に過ごしたいという欲望の裏返しなのでしょうか。

震えた声で縋る君

悪意のない悪とは

止め処なく
悪意のない悪が育ち膨れて
飾られた
偽物の君と『愛』してた

出典: ペルソナ/作曲:花村想太,Louis 作詞:ヒカル,花村想太

曲はサビ前にさしかかりピークを前に抑えた歌声の印象です。

平面的になりがちなコンピューターミュージックの中でしっかりとメリハリをつけています。

歌詞もいよいよ本質に触れていくような内容です。

止め処(とめど)ないとは終わりがない、際限がないという意味になります。

悪意とは本来相手やものに対して害を与える可能性を知ったうえで行動することです。

悪にはご存じの通り幅広い意味があります。

次の育ち膨れるという表現から具体的な事象ではなく善性の裏返しなのではないでしょうか。

つまり相手を思っての行動が逆に相手にとってマイナスな印象を与えている。

相手を思うあまり相手の気持ちを考えられなくなってしまっているのでしょう。

飾られた偽物の君とは本音を隠しているという風にも読み替えられます。

『愛』をするという表現は、本来“愛する”と動詞的に表しますよね。

ここではあえて“愛+をする”と愛を名詞的な表現のまま残しています。

本当の愛ではないのに愛し合っている風の行動をしてしまっていた。

というような後悔の気持ちを読み取ることができます。

仮面をつけた僕

もう許さない 許せはしない
後悔しろ 僕へ向けたそのピストルを
震えた声で 潤んだ瞳で縋り付こうが
もう許さない 許せはしない
どこまでも君を堕とし続けてみせる
仮面をつけた僕は
ただのペルソナ

出典: ペルソナ/作曲:花村想太,Louis 作詞:ヒカル,花村想太

曲はサビを迎えスピード感のあるメロディーが思わずリズムを刻みたくなります。

サビでは“僕”が彼女からピストルを向けられて怒りを覚えているようです。

しかし歌詞の途中に“震えた声で縋る(すがる)”とあります。

これではまるで彼女の方から許しを願っているようです。

ピストルを向けた人間が許しを請うことは当然ありません。

つまりこれが前述の“悪意のない悪”の正体なのではないでしょうか。

彼女が良かれと思った行動が僕にとっては脅威になっていたのです。

後半では君を堕とし続けると書いてあります。

堕とすとは落下するときの落とすではありません。

堕天使や堕落といったように通常かもしくは良い状態であったものが良くなくなる

もしくは駄目になるといった意味合いが加わります。

すでに彼女はピストルを向けながらも許しを請うような異常事態です。

堕とし続けるという表現からわかるように恐らく彼女はすでに堕ちています。

その状態を僕は続けるといった狂気を感じさせる歌詞です。

しかし実際には憎しみは愛と定義しています。

つまり君を愛し続けるといった、前向きな言葉と取ることができるのです。

またペルソナの語源はラテン語の仮面。

心理学者のユングによって自己の外的側面と定義されました。

つまり人から見た自分と内なる自分の違いの概念のことです。

仮面をつけた僕ということは彼女と同じように僕もまた飾っているのでしょう。

しかし僕の場合は仮面をつけてもただの外的側面。

つまり他人から見たままの自分で変わらない存在だということです。