逃げ出すことに対して少し躊躇している「君」。

「やっぱりこんなこと辞めた方がいいんじゃないのかな…?」と思っているのでしょう。

そんな「君」の心境を「立ち止まった君」といった言葉で表現しているのだと思います。

一方、主人公の方は逃げ出したい気持ちでいっぱいのようです。

迷いを感じている「君」の手を少し強引に掴んで、逃げ出す作戦を推し進めたのでしょう。

でも「連れさってしまったんだ」という、少し後悔しているような気持ちも混ざってますね。

表面上では強気な主人公ですが、心の奥底では「君」と同じように迷いがあるのかもしれません。

とにかく逃げ出したい主人公

君とばっくれたいのさ このままばっくれたいのさ
ばっくれたいのさ このまま正解不正解掻っ攫って
さぁ 飛び出して 誰も知らないまだ見ぬ街へ
ばっくれたいのさ このまま現在過去未来掻っ攫って

出典: 逃避行/作詞:三原康司 作曲:三原康司

ここでは、主人公の中にある「逃げ出したい」という気持ちが爆発していますね。

逃避行することが果たして正しいことなのか、それとも間違ったことなのか。

主人公には全く判断がつきません。

しかし、もう逃避行を実行してしまったのですから、今更頭を悩ませても意味がないのです。

それよりも、何も考えずに遠くの街へ逃げ出し、心機一転したい気持ちでいっぱいなのでしょう。

2番~ラストの歌詞

安心を得るために逃げ出した

辿る前例の中には誰が見えているのか
分かち合ったのは自分の安心のくせに

出典: 逃避行/作詞:三原康司 作曲:三原康司

逃避行をしなければ「君」と一緒に居続けることはできない。

だから「君」といつまでも一緒にいられるという安心を得るために逃げ出した。

…という意味にも捉えられますね。

「思い当たる気持ち」とは?

とても文学的にはなり切れない僕でも
思い当たる気持ちを裏切れますか

出典: 逃避行/作詞:三原康司 作曲:三原康司

「思い当たる気持ち」というのは、逃げ出すことに対するやましさを指しているのでしょう。

きっとこの主人公が逃げ出すことにより、心配する人や迷惑する人もいる。

主人公だけではありません。

「君」が逃げ出すことにより、心配する人や迷惑する人だっています。

そのことに対して、申し訳ない気持ちが少なからずあるのでしょう。

その気持ちを無視することができるのか、自問自答しているようです。

後先考えずに行動している主人公

君とばっくれたいのさ このままばっくれたいのさ
ばっくれたいのさ このまま喜怒哀楽でさえ掻っ攫って
さぁ 飛び出して 誰も知らないまだ見ぬ街へ
ばっくれたいのさ このまま まだ見ぬ街へ

出典: 逃避行/作詞:三原康司 作曲:三原康司

ここでも、主人公の「逃げ出したい」という気持ちが溢れ出ていますね。

「喜怒哀楽でさえ掻っ攫って」というのは、感情を無にしたいということなのでしょう。

逃避行をするにあたって不安、期待、申し訳なさといった様々な気持ちが出てきているはず。

しかし、いちいち考え込んで悩んでしまっていたら、きっと二人は一緒になれない。

だから、後先考えずに思い切った行動をとる必要があったのでしょう。

「まだ見ぬ街」での生活に賭けて、今はひたすら逃げ出すしかない!と思っているようです。

「君をずっと待っている」に込められた意味とは

指を折って君をずっと待っているから
君はどうだ 僕はきっと 君の知らない街にお招きするんだ

出典: 逃避行/作詞:三原康司 作曲:三原康司

「君をずっと待っている」という歌詞に注目してみましょう。

一緒に行動して、逃避行をしているにも関わらず「待っている」とはどういうことなのでしょうか。

これは私の勝手な解釈ですが、

恐らく「君」の気持ちが固まるのを待っているという意味では?と思いました。

逃げ出すことに対して、未だに迷いを抱いている「君」。

今はまだ迷っているかもしれないけど「君」が前向きな気持ちになることを待っている。

そんなニュアンスが込められているのかもしれません。

「お招きする」という歌詞からは、迷いのある「君」を主人公がリードする様子が伝わってきますね。

始まってしまった二人の逃避行