ブラウン管の向こう側
カッコつけた騎兵隊が
インディアンを撃ち倒した
ピカピカに光った銃で
出来れば僕の憂鬱を
打ち倒してくれればよかったのに
出典: https://twitter.com/kizarutei/status/848670600650293248
1989年6月にリリースされたTHE BLUE HEARTS8枚目のシングル「青空」。
ブラウン管の向こう側で起こっている出来事を他人事のように認識し、そのピカピカに光った銃で僕の憂鬱を打ち倒してくれたら良いのに…という出だしから始まります。
社会問題に言及
生まれたところや皮膚や目の色で
一体この僕の何が分かるというのだろう
運転手さんそのバスに僕も乗っけてくれないか
行き先ならどこでもいい
こんなはずじゃなかっただろ
歴史が僕を問い詰める
まぶしいほど
青い空の真下で
青い空の真下で
出典: https://twitter.com/deepwizardry/status/907964302673428480
人はなぜ戦争や紛争を起こすのか?平和とは何なのか?皮膚や目の色が違うからといってなぜ差別が起こるのか?同じ人間なのに、何が違うのか?
私たちが生きている世界で起こっていることについて改めて考えさせられる曲となっています。
社会的な問題を取り入れ、そこから自分たちはどうするべきかと問いかけるような楽曲。
他人事に思えてしまうような遠い土地の出来事も、同じ人間たちが関わっています。
それを知らんふりせずに考えて行くことで、私たちはより平和に近づけるのかもしれません。
この楽曲でTHE BLUE HEARTSは今まで紹介した彼らの曲とは違ったシリアスな一面を見せています。
これまでも社会的な問題に言及してきた彼らですが、ここまでがっつりとメッセージを描くことはありませんでした。
説教臭くなく、一緒に考えて共に歩んでいこうとリスナーに寄り添っているかのような歌詞が胸に深く突き刺さります。
手紙
ヴァージニア・ウルフのメノウのボタン
セロハンのバスのシートに揺れている
ジャングルジムの上 ひろがる海に
ぬれている君と 淡い月明かり
ねじれた夜に 鈴をつければ
月に雪が降る
水平線の見える場所は もう春だ
出典: https://twitter.com/Bluehearts85_95/status/799250793639481344
1993年3月にリリースされたTHE BLUE HEARTS7枚目のアルバム「DOG OUT」に収録されている「手紙」。
ストレートな表現が多いTHE BLUE HEARTSの歌詞の中では珍しく抽象的。
小説を読んでいるときのようなふわふわとした気持ちになる曲です。
歌詞の初っ端に登場するヴァージニア・ウルフとはイギリスを代表する作家の名前。
実在した作家の名前が出てくるかと思えば、セロハンのバスのシート、ジャングルジムの上に広がる海、ねじれた夜など、夢の中のような世界が広がっていきます。
部屋で夜空を見上げながら聴いたら、この曲の世界観にどっぷりと浸れそうですね。
夢のような光景が頭の中に広がりワクワクしてくるような歌詞。
子供の頃の想像の世界のような、ヘンテコでなんでもアリな感じが、私たちに小さい頃の気持ちを思い出させてくれます。
不思議と懐かしくてノスタルジックな気持ちになる、THE BLUE HEARTSの想像力が爆発した楽曲です。
様々なインスピレーションが押し寄せてくるかのような、独創的な言葉の羅列。
脳内にカラフルなイメージが広がり、まるでおもちゃ箱のように様々なもので私たちの心を染め上げてくれる楽曲です。
彼らのすべてが詰まった1曲
終わらない歌
終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために
終わらない歌を歌おう 僕や君や彼等のため
終わらない歌を歌おう 明日には笑えるように
出典: https://twitter.com/usankusashindy/status/902823900525891584
1987年5月にリリースされたTHE BLUE HEARTS1枚目のアルバム「THE BLUE HEARTS」に収録されている「終わらない歌」。
クソッタレの世界のため・全てのクズ共のため。
という大きな括りから、僕や君や彼等のためという小さな括りに入っていくところに、THE BLUE HEARTSというバンドの全てが詰まっているように感じます。
クソッタレな世界の中で生きている「僕や君や彼等」のための応援歌。
辛いことがあった日に口ずさんでみてください。きっと少し気分が晴れて明日も頑張ろう!という気持ちになると思います。
「終わらない歌」に込められた想いとは
「終わらない歌」というタイトルに込められたのは、この歌がずっと続いていくということ。
歌というのは始まれば、いつか終わってしまうものです。
しかしそれが終わらないというのは、永遠の時間を意味しています。
歌を歌うことで誰かのためになりたい。
そんな想いのままに、ずっとこんな風に歌を歌っていきたいという彼らの音楽への姿勢を表しているのではないでしょうか。
悔しさや悲しさに暮れたとしても、絶対に明るい未来が訪れるはず。
私たちがそう思えるように、彼らはすべての人々のために歌っているのです。
誰かのために歌いたいという気持ちが、偽善ではなく純粋に届くのは彼らの姿勢がずっとブレないからなのでしょう。
一貫して誰かを元気付けたいという気持ちが、この楽曲では深い愛情となって私たちの心に響きます。
THE BLUE HEARTSの楽曲の根底に流れるその想いが、1番伝わるのがこの「終わらない歌」なのです。
彼らを語る上で外せないこの楽曲、是非その歌詞に耳を傾けながら聴いてみてください。