初期衝動とは「初めて表現をしたいと思った時の衝動」のことを指します。
ロックでは「とにかくロックがしたい!」という意味合いで使われる言葉です。
ここにも大森靖子のルーツであるロックバンドの息吹が感じられます。
「DON’T TRUST TEENAGER」は直訳すると「十代を信じるな」という意味です。
更に意訳すると「十代の衝動を信じるな」という風に解釈できます。
大森靖子は自分の中にある衝動がずっと燃え尽きないから音楽をやっているのでしょう。
そしてその衝動は大人になっても消えていないのだと感じられます。
歌詞では「十代の一時的な衝動を信じないで」と伝えているのではないでしょうか。
大人になっても消えない衝動を追い求めろというメッセージを発しているのかもしれません。
若気の至りのような一時的な衝動に身を任せるのではなく、ずっと消えない炎のために生きようということです。
変わらない信念を持つ
初期衝動も初恋もいらない
永遠に少女
出典: DON’T TRUST TEENAGER/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
「初期衝動」も「初恋」もどちらも一度だけですぐ消えてしまいます。
「大人になったら消える衝動なんてゴミ」というわけです。
そして「永遠に少女」という言葉が光ります。
それは大森靖子自身の衝動と決意が少女の頃から変わっていないことを描写しているのでしょう。
小さい頃から変わらない信念を持つことは何よりも尊いのかもしれません。
SNS時代に一石を投じる
現代社会への皮肉
真実は複雑 読み飛ばしてさあ 嘘で断罪
出典: DON’T TRUST TEENAGER/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
「ZOC」は何かと炎上しがちなアイドルグループです。
この歌詞はそんな「ZOC」のSNS上における状況を皮肉ったものだといえるでしょう。
みんなが思っているより真実は複雑なのに、それを読み飛ばして捏造された情報で勝手に裁くことへの皮肉です。
自分の都合のいいように解釈して自分勝手に断罪してくる外野への攻撃的な言葉になります。
SNSで簡単に炎上する現代の状況を大森靖子流に表現していると感じることができるでしょう。
溢れ出る美しさ
切り刻まれるほど傷口からチュベローズ
美しいハラワタを晒し生きる性壁
出典: DON’T TRUST TEENAGER/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
チュベローズは和名で「月下香」という花です。花言葉は「危険な関係・危険な楽しみ」です。
香水の原料となる花なので「傷口からチュベローズの香水が出る」というような解釈で良いでしょう。
なんとも艶かしい描写です。
つまり大森靖子は炎上すればするほど自分の魅力が高まると感じ、炎上することを楽しんですらいると解釈できます。
まさに危険な楽しみです。
大森靖子は炎上すら武器にする新時代にふさわしいアイドルといえるでしょう。
周りに流されるな
無知の正義は人を殺すから
歴史の悪女も皆ヒロインだったはずさ
出典: DON’T TRUST TEENAGER/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
SNS上で炎上し、いわれのない誹謗中傷で悩んでいる人は多くいるでしょう。
正義の名の下に大多数に叩かれてしまえば、反論できずに心が死んでいくのが分かります。
この歌詞ではそういった状況を批判しているのでしょう。
歌詞からは、何も知らないのに「みんなが叩いているから私も叩く」という無知の大衆に怒りを感じます。
無知の大衆に対し「それは殺人だよ」と大森靖子は伝えているのです。
無知の大衆が有名人を叩くことは今に始まったことではありません。
歴史上で悪女といわれている人たちも、何か事情があったのかもしれないと彼女は感じているのでしょう。
それは実際に炎上して叩かれた経験のある人にしか分からないことなのかもしれません。
実は歴史上悪女と呼ばれている女性たちも、複雑な事情のせいで悪くいわれているだけなのではないでしょうか。
歌詞では、無知の正義によって心を殺されてしまったヒロインだったのではないかと示唆しています。
そして「ZOC」もそんな悲劇のヒロインということです。
この歌は、周りに流されず自分の頭で考えて行動しなさいということがいいたいのではないでしょうか。