なにかに導かれるような旋律に再び現れるのは「ときは終わった」という歌詞。
そして不安定な中にも夢を強く持っていることが改めて示されます。
迫りくるリズムの集合体は無機質にも感じられるかもしれません。
しかしそれは私たちの脳内をダイレクトに揺らすかのように続きます。
日常の中で忘れていた感情や意識を呼び起こすようなサウンド。
耳から届いて鼓膜を揺らし、脳内に響くような感覚を覚えます。
途切れ途切れ聴こえる歌詞には求めているものの答えも隠れていそうです。
微かに「メロディー」「連れていく」「Here we go」と聞き取ることができます。
主人公が求めているのは自分だけのなり止まない音楽。
その終わりのないメロディーが主人公を次のステージへ連れて行ってくれるのかもしれません。
(ひとりじゃないのに、どうして、どうして)
(ここにはいないような、どこへ、どこへ)
出典: Hype feat. Such/作詞:PSYQUI 作曲:PSYQUI
静寂に呼び戻されて繰り返される疑問。
そこには不安な心情が描かれています。
「一緒にいこう」と夢を追う仲間もいる。
現実をその目にしていても自分の居場所がここではないように感じていることが捉えられます。
いったいどこへ向かえばいいのか。
そんな不安や迷いが主人公にもあるのでしょう。
ユメノセカイへ
心にとどまるイメージ
ひとりじゃないのに、どうして、どうして
ここにはいないような、どこへ、どこへ
I still can't forget あの時みたいな想像
Saw 10 p.m. show
ユメノセカイヘ
出典: Hype feat. Such/作詞:PSYQUI 作曲:PSYQUI
歌詞の主人公の心から消えてなくならないのは“あの時”みた映像。
テレビに映る音楽番組でしょうか。
目の前で繰り広げられるステージに夢中になっていた自分。
いつかはそのステージに自分も立ちたい。
そんな“夢”を胸にいままで一歩一歩進んできたのでしょう。
冒頭の“Time is over”は夢を追い求めているだけの時期はもう終わったことを示しているのかもしれません。
いま立っている現実はまさに夢に見た世界。
少しの空間にすら一切の隙が感じられないサウンド。
このまま音の渦に身を任せていたくなる中、音の空間にすら強い意志が感じ取れます。
きっと自分が意識している限りその音楽は止むことがないのかもしれません。
それは夢が夢で終わらないのと同じように。
自分の意識で捉えていればいつでも音楽の持つ力も感じ取ることができるのではないでしょうか。
夢のその先へ
ひとりじゃないのに、どうして、どうして
ここにはいないような、どこへ、どこへ
出典: Hype feat. Such/作詞:PSYQUI 作曲:PSYQUI
ずっと憧れていた“ユメノセカイ”へ辿り着いても、不安な気持ちが影を潜めます。
夢に近づけば近づくほど、夢が現実味を帯びていくほど新たな不安は巻き起こるもの。
これから自分はうまくやっていけるのだろうか。
これが本当に自分がやりたかったことなのだろうか。
思い描いていた未来が形となって目の前に訪れるとは限らないでしょう。
この楽曲には不要な音も言葉も一欠けらも存在していません。
雄弁な言葉で多くを語ったとしてもそれがすべて伝わらないこともあります。
夢に対しても同じことがいえるはずです。
夢は口に出すと叶うとよくいわれます。
しかしただやみくもに夢を語るだけではしょせん夢は夢のまま。
意思を持って言葉を発しなければ誰の耳にも届きません。
それは夢を語る自分自身にも。
言葉にしただけで安心感を持ってしまってはそこから進むことはできないでしょう。
大切なのはそこからどう動くのか。
華やかな夢の世界にいても不安や葛藤はつきまといます。
夢を叶えたその先にもまだ道は続いているのです。
感覚を研ぎ澄ませて耳で感じ取るサウンド。
それは前衛的で革新的な音楽として私たちの耳に届きます。
きっとそのサウンドは私たちになにかを気付かせてくれるはずです。
夢中になれるなにか。
追い求めているなにか。
終わることのない音楽にはその答えがつまっているのかもしれません。
最後に
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【PSYQUI/Don’t you want me ft. Such】歌詞を和訳&解説!愛は本物? - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
日本のEDMシーンで脚光を浴びるPSYQUIの代表作「Don’t you want me」。斬新なサウンドに乗せられた歌詞にはどんな意味があるのでしょうか?なぜ主人公は「愛」を求めているのでしょうか?一緒に紐解いていきましょう。
最初にご紹介するのは【Don’t you want me ft. Such】。
スタイリッシュにサウンドに絡み合うSuchの歌声はときに甘くときにクールに鼓膜に響きます。
歌詞の主人公が心から求めているのは本気の“愛”です。
記事ではビートに調和する歌詞に綴られた恋心と葛藤が読み解かれていきます。
最後まで予測不能な展開と楽曲の持つ世界観にひき込まれる1曲です。