ヴィジュアル面で起こした革命

さてナンバガはヴィジュアル面でも革命を起こしました。

それまで、バンドマンはバンドマンらしい格好をしていないと売れませんでした。

日本でロックが市民権を得ていったことと、BOØWYやX JAPANの見た目は切っても切れない関係にあります。

そういったヴィジュアル面の束縛をものともしない浪人生スタイル。

「透明少女/NUMBER GIRL」のPVがかっこいい!星野源イチオシ曲の歌詞をチェック♪コードありの画像

向井秀徳の功績は、カッコいい曲を作り高い演奏技術を持てば、ヴィジュアルは関係ないと証明したこと

今やバンドにヴィジュアルは関係なくなっています。ほぼきのこ人間みたいなバンドマンもいるくらいですから。

逆にヴィジュアル面での変化が、音楽性へ変化をもたらした面もあるのではないでしょうか。

ヴィジュアルを気にせず、ただ格好良い音を鳴らす。

そのストイックさが、現在ではバンドマンが目指す格好良さの1つとなっているといえるでしょう。

バンドのスタイルに多様性をもたらしたのも、NUMBER GIRLの功績の1つです。

デビューシングル「透明少女」

ナンバガのメジャーでのデビューシングル「透明少女」です。

どこがサビかもわかりづらく、声も聞き取りづらいので、最初は聞きづらく感じると思います。

でも何度か聴くうちにメチャクチャハマってしまうのが、彼らのすごいところでしょうね。

NUMBER GIRLにしか出せない鋭角なサウンドの中から浮かび上がってくる、向井秀徳にしか出せない叙情性。

それがこの楽曲を特別にしているところなのでしょう。

今回は彼らの代表曲の1つであるこの楽曲が、具体的にどのような点で優れているのか紹介していこうと思います。

荒々しいMV

「透明少女/NUMBER GIRL」のPVがかっこいい!星野源イチオシ曲の歌詞をチェック♪コードありの画像

各々の個性が強すぎてデビューから3年半しか保たなかったナンバガを象徴するようなMVです。

見所は…

  • ものすごい雑なカメラワーク
  • 完全に私服なのにたぶん青で揃えてきた衣装
  • ギター 田渕ひさ子の恍惚とした表情
  • ベース 中尾憲太郎の早すぎる右手
  • ドラム アヒト・イナザワのカウント(声でかい)

でしょうか。ほんとに「衝動」って感じのMVですよね。歌詞も見ていきましょうか。

MVの衝動的な映像とリンクする独特の歌詞世界となっています。

向井秀徳流の歌詞

夏は赤い

「透明少女/NUMBER GIRL」のPVがかっこいい!星野源イチオシ曲の歌詞をチェック♪コードありの画像

BM7       EM7
赤いキセツ 到来告げて
BM7    EM7
今・俺の前にある
BM7     EM7
軋轢は加速して風景
BM7     EM7
記憶・妄想に変わる
 D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7
気づいたら    俺は
D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7
なんとなく   夏だった

出典: 透明少女/作詞:MUKAI SHUTOKU 作曲:MUKAI SHUTOKU

解釈出来ないくらい向井秀徳の歌詞は難しいです。

分かる部分だけ拾っていくと、夏を「赤いキセツ」と表現しているのがいいですよね。

独特な言語感覚ですよね。透明少女ってタイトル付けるくらいだから青いイメージになりそうなものですが…。

そして「気づいたら俺はなんとなく夏だった」というフレーズ。

なんてことないように青春を表現していますよね。

「赤」や「軋轢」といった単語からは、どこか不穏な雰囲気も感じられます。

夏というと人々のテンションも高く、イベント事なども増える季節。

その騒々しさを、そうした言葉によって表しているのかもしれません。

夏から感じるあの感覚を、向井秀徳にしか表せない表現によって描いた秀逸な歌詞といえるでしょう。

「透明少女」以降、彼の世界観はどんどんと広がりを見せ、独自の世界観を獲得していきます。

少女登場

BM7   EM7BM7     EM7     
赫い髪の少女は早足の男に手をひかれ
BM7    EM7BM7    EM7
うそっぽく笑った 路上に風が震え
D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7 
彼女は     「すずしい」と 
D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7
笑いながら   夏だった

出典: 透明少女/作詞:MUKAI SHUTOKU 作曲:MUKAI SHUTOKU

そして少女登場。髪が赤い。ていうか赫い。燃えるような赤毛なのでしょう。

そして涼しげな夏の描写が続きます。

歌詞中に登場する少女からはどこか飄々とした印象を受け、それが終始鳴り響く吹き抜ける強風のようなサウンドと重なります。

夏の照りつける日差しの中で、少女の側を爽やかな風が吹き抜ける。

それを眺めながら、主人公は夏を実感しているのでしょう。

透き通っていく街、俺、少女