ヴィジュアル面で起こした革命
さてナンバガはヴィジュアル面でも革命を起こしました。
それまで、バンドマンはバンドマンらしい格好をしていないと売れませんでした。
日本でロックが市民権を得ていったことと、BOØWYやX JAPANの見た目は切っても切れない関係にあります。
そういったヴィジュアル面の束縛をものともしない浪人生スタイル。
向井秀徳の功績は、カッコいい曲を作り高い演奏技術を持てば、ヴィジュアルは関係ないと証明したこと。
今やバンドにヴィジュアルは関係なくなっています。ほぼきのこ人間みたいなバンドマンもいるくらいですから。
逆にヴィジュアル面での変化が、音楽性へ変化をもたらした面もあるのではないでしょうか。
ヴィジュアルを気にせず、ただ格好良い音を鳴らす。
そのストイックさが、現在ではバンドマンが目指す格好良さの1つとなっているといえるでしょう。
バンドのスタイルに多様性をもたらしたのも、NUMBER GIRLの功績の1つです。
デビューシングル「透明少女」
ナンバガのメジャーでのデビューシングルが「透明少女」です。
どこがサビかもわかりづらく、声も聞き取りづらいので、最初は聞きづらく感じると思います。
でも何度か聴くうちにメチャクチャハマってしまうのが、彼らのすごいところでしょうね。
NUMBER GIRLにしか出せない鋭角なサウンドの中から浮かび上がってくる、向井秀徳にしか出せない叙情性。
それがこの楽曲を特別にしているところなのでしょう。
今回は彼らの代表曲の1つであるこの楽曲が、具体的にどのような点で優れているのか紹介していこうと思います。
荒々しいMV
向井秀徳流の歌詞
夏は赤い
BM7 EM7
赤いキセツ 到来告げて
BM7 EM7
今・俺の前にある
BM7 EM7
軋轢は加速して風景
BM7 EM7
記憶・妄想に変わる
D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7
気づいたら 俺は
D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7
なんとなく 夏だった
出典: 透明少女/作詞:MUKAI SHUTOKU 作曲:MUKAI SHUTOKU
解釈出来ないくらい向井秀徳の歌詞は難しいです。
分かる部分だけ拾っていくと、夏を「赤いキセツ」と表現しているのがいいですよね。
独特な言語感覚ですよね。透明少女ってタイトル付けるくらいだから青いイメージになりそうなものですが…。
そして「気づいたら俺はなんとなく夏だった」というフレーズ。
なんてことないように青春を表現していますよね。
「赤」や「軋轢」といった単語からは、どこか不穏な雰囲気も感じられます。
夏というと人々のテンションも高く、イベント事なども増える季節。
その騒々しさを、そうした言葉によって表しているのかもしれません。
夏から感じるあの感覚を、向井秀徳にしか表せない表現によって描いた秀逸な歌詞といえるでしょう。
「透明少女」以降、彼の世界観はどんどんと広がりを見せ、独自の世界観を獲得していきます。
少女登場
BM7 EM7BM7 EM7
赫い髪の少女は早足の男に手をひかれ
BM7 EM7BM7 EM7
うそっぽく笑った 路上に風が震え
D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7
彼女は 「すずしい」と
D#7 A#m7 AM7 D#7 A#m7 AM7
笑いながら 夏だった
出典: 透明少女/作詞:MUKAI SHUTOKU 作曲:MUKAI SHUTOKU
そして少女登場。髪が赤い。ていうか赫い。燃えるような赤毛なのでしょう。
そして涼しげな夏の描写が続きます。
歌詞中に登場する少女からはどこか飄々とした印象を受け、それが終始鳴り響く吹き抜ける強風のようなサウンドと重なります。
夏の照りつける日差しの中で、少女の側を爽やかな風が吹き抜ける。
それを眺めながら、主人公は夏を実感しているのでしょう。