「to the moon(月へ)」が意味するもの

【to the moon/Yogee New Waves】歌詞の意味を徹底考察!君を月に誘う理由とはの画像

「都会におけるPOPの進化」をテーマに2013年より活動を開始。

そして今やシティ・ポップを代表するバンドとして日本中に名を馳せるYogee New Waves

今回紹介する歌詞は、2019年12月にリリースされた「to the moon」です。

彼らはこれまでリリースしたアルバム「島三部作」と位置づけていました。

1stアルバム「PARAISO」、2nd「WAVES」、3rd「BLUEHARLEM」の3作です。

3枚にわたってこれらの「島」を漂流し、なんで突然「月」!?とファンを驚かせた本作。

今回は、歌詞に込められた意味を徹底考察するとともに、Yogee New Wavesの魅力を再発見していきます!

イントロからワクワクが止まらない!

【to the moon/Yogee New Waves】歌詞の意味を徹底考察!君を月に誘う理由とはの画像

to the moon
月へ直滑降さ

出典: to the moon/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo kakudate

同じフレーズをそっとささやくように繰り返しながら、本曲の物語は幕を開けます。

リフレインするフレーズはリスナーの心に印象強く刻まれ「これからどんな展開になるんだろう」というワクワク感で胸が膨らみますね。

ちなみに「直滑降」という言葉は本来「斜面をまっすぐ滑り降りる」というスキー用語だそうです。

ここでは「滑り降りる」というより「勢いよく落ちていく」ような印象を受けますね。

Yogee New Wavesの魅力である遊び心の混じった言葉選びは、さすが今回も期待を裏切りません。

東京という街で生きる人たちに寄り添う優しさ

グッバイ今までの自分とは
違うことに気づいていて
別に明日死ぬわけじゃないし
ここは東京 いかれた気分さ

出典: to the moon/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo kakudate

一聴するととても投げやりな、諦観にも似た印象を受けますね。

東京が嫌いなのかな?という感じを受けますが決してそうではなく、むしろ愛着すらあるように聴こえます。

彼らが伝えようとしているのは、「今日は今日、明日は明日」という気持ちの切り替えなのではないでしょうか。

たしかに今日が突然人生最後の日になるなんてことはきっとないはずです。

だからツイていない日々がどんなに続いても、今日までのあれこれはきれいさっぱり忘れてしまおうということなのでしょう。

同じ空の下で暮らすリスナーにそっと寄り添ってくれるような、優しさの表れだと思いませんか。

今日を最高の気分で締めくくる秘訣?

だって何年たっても君に
夜を告げる 夜
何年たってもふいに
夜に溺れる ぼく

出典: to the moon/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo kakudate

ここで「君」、そして主人公の「ぼく」が登場します。

歌詞で「君」という登場人物が出てくるとき、一般的にはその曲における主人公の想い人であることが多いのではないでしょうか。

ですが本曲ではおそらく「ぼく=メンバー「君=リスナー」であると推測します。

その理由は、1つ前の歌詞でリスナーへの優しさがメッセージとして込められているからです。

アーティストが自分に対して歌ってくれているという感覚は、いつでもとても嬉しいですね。

ちなみにここで、物語は夜だということがわかります。

月がテーマなので場面が夜だということはとても想像しやすいでしょう。

たゆたうようにゆったりのんびりと夜を過ごすメンバーの姿が目に浮かぶようです。

きっと、忙しない一日を心地よく終える彼らなりの最高の締めくくり方なのでしょう。

月へ行こうだなんて、ロマンティックなお誘い!

【to the moon/Yogee New Waves】歌詞の意味を徹底考察!君を月に誘う理由とはの画像

眠れぬ夜は
風をまとって
空を泳いだり
瞳に落ちて
ねえ 月まで行こうか
たどり着けない 生き物のようにね

出典: to the moon/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo kakudate

サビに入ります。ここでようやく、本曲のキーワードである「月」が登場します。

夜と月という印象的な組み合わせ、そして風と空。都会と対照的に自然を表す言葉が心地よさを生みます。

さきほどのゆったりのんびりとした空気感が伝わってくるような、なんともロマンティックな歌詞ですね。

これらの言葉を美しく散りばめながら、物語は鮮やかに彩られていきます。

リスナーをふわりと包み込むような夜が描かれる

ゆっくりと流れる時間の中で、ぼくはまどろんでいるのでしょうか。

そして、まどろみながら月をながめて、空想にふけっているのでしょうか。

きっとその日は、月がとてもきれいな夜だったのでしょう。

曲を聴いている私たちまで夜にそっと包み込まれて、見上げたらまあるい月が浮かんでいそうな、そんな気にすらさせられます。

そして彼らは君、すなわちリスナーを月へと誘うわけです。なんともロマンティックなお誘いですね!