ここが一番の共感ポイントではないでしょうか?
バクナンはいつも世の男性が抱えているやるせなさをちゃんと言葉にしてくれます。
「このままこんな会社で一生働いていていいのかな?」
「給料も上がらないし、やってられないよ」
満員電車で吊革につかまりながら窓に映る自分の姿を見たとき。
「こんな毎日もう嫌だ!」
そんな焦りから、自分を奮い立たせてきた気持ちも一気に萎んでしまいます。
膨らみ続ける夢
世界中を旅して 奇麗なものを たくさん⾒たいな
欲しい物が全部 買えちゃうくらい お⾦がほしいな
努⼒が認められすぎて 毎⽇褒められたいな
出典: 遠吠え/作詞:清⽔依与吏 作曲:清⽔依与吏
妄想が次々に膨らんでいきます。
このように行きたいところにいつでも行けて欲しいものも全て手に入る生活。
叶うなら本当にワクワクしてきます。
ただ3つ目のフレーズだけは少し質が違っていることにお気づきでしょうか?
注目される快感
みんなから注目されたい!
周りからすごいと言われたい!
「チヤホヤされたら気持ちいいだろうな~」と思ったことありませんか?
芸能人の生活をテレビで見て「羨ましい~」と一度は考えたことあるはずです。
友人たちを自宅に招待したときの羨望の眼差し。
綺麗な彼女を連れて歩いているときの優越感。
おいしい料理とワインに舌鼓を打つ毎日。
「あいつは本当にすごいよね!」とか「あんな生活できたらいいな~」と目標にされること。
想像しただけでこんなに気持ちのいいことはないはずです。
しかし満足という頂上に着いたとき。
急にハシゴを外されたような感覚が襲ってきます。
全てが手に入ったとき
ここまで妄想してきた優雅な暮らし。
欲しいものも名声も手に入った。
これぐらい何でも買えるくらいのお金があったら、ほとんどの悩みはなくなるはずです。
しかし何でも買えるようになったとしても絶対に買えないものがある。
全てが手に入ったときに果たして満足できるのか?
「本当に欲しかったものは何だったのか?」
次の歌詞では主人公が「欲しかったものの本質」に気づきます。
たとえ多くの人が集まってきてチヤホヤされたとしても、自分ではなくお金に集まってきただけ。
高級マンション、高級車、高級腕時計、それらを支えるお金。
全てなくなったときに綺麗な彼女は自分の隣にいてくれるのだろうか?
友人たちは今までと変わらず付き合ってくれるのだろうか?
「自分の周りから地位、お金、物がなくなったときに何が残るのか?」
全てを失ったとしても「あなただから一緒にいたい」と言われた方が嬉しいはずです。
自分の弱さに気づいたとき
夢を夢と呼ばずに ⽬標と⾔える 強さが欲しいな
負けを負けと呼ばずに 経験と⾔える 強さが欲しいな
⾃分を認める強さを 君を忘れる強さを
出典: 遠吠え/作詞:清⽔依与吏 作曲:清⽔依与吏
主人公の中で何かが動き出しました。
今までは「宝くじが当たったらいいな」という他力本願だったのが強い決意へと変わっています。
人から認めてもらうためには今の自分を認めることができて初めて強くなれる。
そんなことに気づいたと歌っています。
強くなるために
膨大なお金が手に入ると人は変わってしまうといわれています。
でもどんな大金を手にしたとしても自分を支えてくれる人を大切にする。
同じ「エン」でも「円」より「縁」でつながっていきたい。
そんな心境の変化が生まれてきました。
本当の強さ
ここで出てくる「君」というのは誰かを指しているわけではない気がします。
「さっきまでの自分」を「君」と表現したというのがしっくりきます。
妄想の中にいれば傷つくことも失敗することもない。
でもずっとポケットの中に手を入れ続けているわけにはいきません。
外は寒いけれど手先までかじかむ冷たさと向き合って進んでいくこと。
それがここで出てくる「目標と言える強さ」なんだと思います。