多ジャンルのルーツを持つメンバーだから出来た「Reason of Black Color」
雨のパレードが2018年3月14日にリリースしたアルバム「Reason of Black Color」。
自身のイメージカラーは黒だと自ら言う彼らが、その色の名前をタイトルに織り込んだのがこのアルバムです。
というのも今作は既出の作品と比べても、とにかく自分たちの中にある要素が色濃く表現されているとのこと。
雨のパレードと言えばボーカルの福永を初め、幅広いルーツを持つメンバーで構成されていることが特徴。
福永の好む洋楽R&Bを初め、メタルだったりブルースだったり、果てはジャズやクラシックまで。
実に多ジャンルでの引き出しを持つメンバーが揃っているんです。
色とりどりの要素が混ざれば黒になる
「じゃあ何でもやっちゃえ」
自信の表れとも取れるこの発言も、彼らの幅広い音楽性を前にすれば説得力のあるもの。
そんなメンバーが出し惜しみをせず、存分にその音楽性を発揮したのが今作。
色とりどりのメンバーが混ざり合えば、それは黒になる。
それが「Reason of Black Color」に込められた意味なのです。
アルバムジャケットも自身のアー写が混ざっていくような描写になっていて、彼らの個性が化学反応を起こしている印象を受けます。
収録曲から王道ラブバラード「You & I」に注目！
そんな「Reason of Black Color」の中から、今回は収録曲の「You & I」にフォーカス。
実に多様な色を取り入れたこのアルバムの中で、「You & I」は駆け引き無しの王道ラブバラードとなっています。
ブルースをルーツとしているギターの山崎の哀愁漂う音色が耳を惹くこの曲。
荒く歪んではいるけど、決して激しいものではない。
彼のそんなギターサウンドは今にも零れだしそうな感情を表すかのよう。
その中に福永の囁くような歌声が溶け込んでいくように響きます。
1人でボートを漕ぐ福永は何を思う？
MVは湖にボートを浮かばせる福永を映した内容。
全体的に薄暗いシチュエーションの中撮影されているのですが、夜というよりも、少し空が白んで来た明け方といったところ。
明け方に1人でボートを漕いでいるという状況が、何か訳ありだということを彷彿とさせますね。
なんとも物憂げなその表情が胸に抱えた突っかかりのようなものを感じさせます。
波の音の描写が物語るのは
途中曲が消えて波の音が響く場面も。
この演出もまた秀逸。
楽曲にしんみりと聴き入っていたところに、フッと表れる虚無感とでも表現しましょうか。
波の音しか聞こえないことが、彼が1人きりであること、その寂しさを強く感じさせます。
やり切れない表情から伝わるもの
クライマックスシーンではやり切れない気持ちが溢れ出したかのような表情で、ボートに横たわる姿も。
例え理由が語られていなくても、この姿に楽曲が相まって熱いものが目尻にこみ上げてくる感覚を覚えます。
音楽と同じように、表情にも言わずして伝わる部分というのがあるのですね。
バラードは歌詞が重要！
何はともあれ、バラードと言われると重要なのは歌詞の内容ですよね！
雨のパレードの詞と言うと、抽象的で言葉数の少ないイメージ。
リスナーの想像に委ねられる部分も多いということで、ここから独自に深読みしていきましょう。
