自身の不安と向き合って
痺れちゃうくらいに怖くてさ
足が竦んで竦んでいた
その時 落ちた涙が今も忘れらんないよな
出典: 麻痺/作詞:TOOBOE 作曲:TOOBOE
誰かにとっては簡単に踏み出せる1歩でも、他の誰かにとっては人生を変えるほど大きなものかもしれません。
今まさに人生の岐路に立っている主人公にとって、この決断が未来を大きく左右するのは明白。
進みたいという願望と不安、進まないことへの安心と後悔が入り混じった複雑な気持ちを抱えています。
今までに歩んできた日々をガラリと変え、新たな道を進み始めるのは誰にだって怖いもの。
そこにあるのは希望だけではないのです。
ふと下を見れば、まるで自分のものではないかのようにガクガクと震える足が見えます。
いうことを聞かない足を引きずりながら、ここで1歩を踏み出せるかどうか……。
それは、主人公が自身の不安に打ち勝てるかどうかという戦いでもあります。
気がつけば頬には自然と涙が伝っていて……。
それが何の意味を持つ涙なのか、はっきりとした理由はまだわからないままです。
もう逃げることはできない
これまでに経験したことのない逆境
どうしようか 逆境は慣れてないから
曖昧な覚悟しか出来てないよな
細胞が硬直し始めては
あんまりな未来を見せてくんだな
出典: 麻痺/作詞:TOOBOE 作曲:TOOBOE
これまで大きな壁にぶつかることもなく、順風満帆といえる日々を送ってきた主人公。
いつか来ると思いながらも、目の前に立ちはだかる困難を超えるための準備などできているはずがありません。
あろうことか、風は主人公に向かって叩きつけるような向かい風。
目を開けることすらままならない中、それでも主人公は立ち向かおうとしていました。
ここで逃げたら、もう二度と立ち向かうことなどできないかもしれない……。
そう思えば思うほど、主人公の決意は固まっていきます。
それでも、足元に絡みつくような不安や恐怖が消えることはありません。
次第に温度を失って冷たくなっていく手足が、目の前の壁の大きさを物語っているようです。
壁を避けてきた過去
あの頃の僕ら ただ人を羨んでは
見えない何かに怒ってさ
片足で跨げる様な 段差をずっと睨んで
言葉も出なくて掻きむしっていた
出典: 麻痺/作詞:TOOBOE 作曲:TOOBOE
今の大きな壁にぶつかるよりも前、主人公は何に挑むでもなく平和に毎日を過ごしていました。
それもそのはず、立ち向かうことを恐れるあまりに壁を避けて生きてきた主人公。
「どうせ自分には無理だから」と、挑戦する前から諦めてしまっていたのです。
立ち向かって失敗するのは、周りの目も気になり、心にも大きなダメージを負います。
しかし始めから挑戦すらしなければ、そんな思いをすることもないのです。
その結果、簡単に超えられそうな壁にも挑むことを止め、悶々とした日々を送っていた主人公。
見えない敵におびえている彼の「本当の敵」は、弱い自分の心だったといえます。
涙の理由
痺れちゃうくらいに怖くてさ
足が竦んで竦んでいた
その時 落ちた涙が今も忘れらんないよな
私を強くさせた貴方に捧げる
可憐なアタックに込めた素敵なバラードを
出典: 麻痺/作詞:TOOBOE 作曲:TOOBOE
挑戦を決めたあの日、自然と頬を伝ったのはこれまでの自分への「別れの涙」でした。
立ち向かうことへの恐れを抱きながら、それと同時に安寧の日々への別れを告げることとなった主人公。
それでも進もうと決めたのは、他でもない「貴方」の存在があったからでした。
いつだってそばにいて、心細い主人公にエールを贈り続けてくれた貴方。
その存在の大切さに気がつけたのは、主人公が挑む決意を固めたからに違いありません。
その感動や感謝の思いは、単純な言葉に乗せて伝えられるものではなく……。
だからこそ主人公は、思いの数々を1つの曲にのせて届けようと歌うのです。
これまでにも数々の歌を紡いできた主人公ですが、その中でもっとも優しさを感じる今回の1曲。
それは主人公の気持ちが、次第に変化しつつあることを意味しています。