凛として時雨 5枚目のアルバム

表記と正反対の意味

前作より2年半の時を経てリリースされた『i'mperfect』。

アイムパーフェクト」と読めてしまうこのタイトルですが、実は込められた意味はまるで正反対

インパーフェクト」、つまり不完全だということです。

タイトルからして遊び心満載のアルバムより、今回は『Missing ling』をご紹介しましょう。

楽曲タイトルに込められた意味

凛として時雨【Missing ling】歌詞の意味を解説!僕はどんな存在?永遠を切望する真意を紐解くの画像

「Missing」は逃す行方不明といった意味の英単語ですね。

ではそこに続く「ling」は?指輪を意味する「ring」とは当然違います。

この答えは、バンド名を英語表記にしてみるとわかりますよ。

彼らのバンド名、凛として時雨を英語表記にすると「Ling tosite sigure」。

そう。つまり楽曲タイトルの「ling」とは、彼らのバンド名を表す単語だったのです。

つまり行方不明になっていたのは凛として時雨自身、ということ。

この楽曲タイトルに込められた意味、そしてこの楽曲が伝えたかったこと。

歌詞を読み解きながら、真意に迫っていきましょう!

僕は本当に僕なのか

僕は誰なのか

探し物を失くした ねえ 今だけ?
僕を破裂させて飛び散らしていいよ
例えばその欠片が 痛いとか 痛いとか 叫んだら
僕の魔法を使って良いよ
記憶がガラスに変わっていく

出典: Missing ling/作詞:TK 作曲:TK

冒頭の歌詞です。主人公は何かを探しているようですね。

その何かを知るためのヒントは歌詞2行目、少々グロテスクな表現に隠されています。

語り手である主人公=僕が、僕自身を壊そうとしています。

しかし4行目の歌詞にも目を向けてみると、ここにも同じく僕が登場しているのです。

つまり2行目で壊そうとしている僕と、4行目で魔法を使う僕は別人ということ。

二重人格…というより、本当の僕と偽物の僕がいると捉えた方がわかりやすいでしょう。

本当の僕と偽物の僕

この楽曲で登場している2人の僕。

まず本当の僕とは自分自身が目指す姿であり、それを追求している自分のことでしょう。

反対に偽物の僕とは、自分自身の意思より周囲の意見で形成された自分の姿だと考えられます。

特にバンドのような人の目に晒される機会が多い人たち偽物の自分が形成されやすいのではないでしょうか。

「○○な姿がいい」「○○なところは嫌い」といった、世間一般の声は嫌でもアーティストの元に届きます。

となると本物の自分を追い求めるより先に、そういった「世間に受け入れられる自分」を求めてしまうのでしょう。

でもそんな自分は、本物ではありません。

どんなに他者から賞賛されたって、自分では認められない・受け入れられない姿にしかなれないのです。

作詞したTKさん自身も、そんなことを感じているのではないでしょうか。

僕以外の誰か

見つけたその人は何者か?

初めて君を見つけた あの日は永遠
冷たい風 色の無い街 意味不明の感じ 違和感

出典: Missing ling/作詞:TK 作曲:TK

ここで僕以外の存在、「」が登場してきました。

見つけたのは紛れもなく僕自身ですが、その対象である君とは何者なのでしょうか。

そのヒントが2行目の描写。無機質中身がなく、まさにフェイクともいえそうな存在。

そう、つまりここで見つけた君とは「偽物の僕」なのです。

おそらく偽物の自分自身をはじめて認識した、その瞬間を思い起こしているのでしょう。

しかしもう1人の自分に出会った日が「永遠」とは、いったいどういう意味なのでしょうか。