未練こぼれる 面影グラス
小樽 札幌 北の 北のおんな町
出典: 北のおんな町/作詞:喜多條忠 作曲:中村典正
歌詞に出てくる「グラス」は忘れることができない人が使ったものです。
あの日向かい合わせで座って飲んだ人。
北海道を代表する観光地や道内一の大都市なら一見さんでしょうか。
それとも仕事で訪れて通ってくれた人かもしれませんね。
目と目を合わせてお酒を飲んで心も通じ合ったと思えたのでしょう。
私だけじゃない相手もきっと同じはず、それくらいに優しい魅力的な人だったのでしょう。
でもあの日のように一緒に「グラス」を重ねることはもうありません。
それはまるでポツンと独り残された自分の心。手にしてみてもそこにあるのは「未練」だけ。
引きずったままの心が涙と共に溢れています。
海の見える場所で
刹那の出来事
あんな短い 暮らしでも
あんなしあわせ もうこない
出典: 北のおんな町/作詞:喜多條忠 作曲:中村典正
さばさばと割り切って次に行くことができない歌の主人公。
それでも「しあわせ」な時間があったことが歌詞になっています。
歌の主人公は1番の歌詞の後、もしかして会えるかもしれないと、住む場所を変えたのでしょうか。
そしてこの場所でも刹那の恋に落ちてしまったようです。
前の町での思いを引きずったままの恋は切な過ぎますね。
そんな恋にも期待をしてしまうけれど、結果はまたもや同じ。
心に残った微かな幸福はむしろ「幸薄い」といわれてしまいそうです。
場所を変えても北で生きることは厳しいのでしょうか。
町の景色がそれを教えてくれます。
私は飛べない
想い出みなとの 酒場まち
なにがおかしい 流氷カモメ
出典: 北のおんな町/作詞:喜多條忠 作曲:中村典正
海の見える街で心機一転を図るはずだったのでしょう。
でも最初に出てきた歌詞にあるように変化は好まない歌の主人公。
街も季節も変わったのに相変わらず一途な思いのままで、生きているのです。
仕事も同じようですね。「酒」を介しての会話を今日も重ねます。
これまで出会ったような、優しい人にまた会えるかもしれない。
いつかは誰かが本当の幸福を持ってきてくれると思っているのでしょう。
待つのが好き、ひたすら待っているのが北で働く「おんな」のセオリー。
心を見透かしたように冷たい海の上で「カモメ」がこちらを見ています。
翼があればどこにだって飛んでいけるけれど、それはできません。
海辺の町で今日も風に耐えているのでしょう。
この地名を心に残して
羅臼 網走 北の 北のおんな町
出典: 北のおんな町/作詞:喜多條忠 作曲:中村典正
北海道の地名ですが先程とはかなり距離がある地名が出てきました。
札幌から網走までは約360km、車なら約8時間かかります。
東京~仙台は約350kmですが、道内ということから北海道の広さが分かりますね。
地名に惹かれたのか、海が見たかったのかは定かではありません。
それでもまた心にこの町の思い出が刻まれたのでしょう。
厳しい寒さも、吹き付ける海風も、すべて受け入れてまた北の大地で生きていくのです。
やっぱり私は…
どうせなんて思わない
おんなですもの 淋しけりゃ
誰か甘えて みたくなる
わたしをひとりに しないでよ
出典: 北のおんな町/作詞:喜多條忠 作曲:中村典正