「おいしい季節」が生まれた背景
前作から2ヶ月ぶりのシングル。栗山ロック三部作のトリを飾るシングルと紹介された。自身初の両A面シングルで、表題の2曲とも東京事変のボーカリスト、椎名林檎による作詞・作曲・プロデュース。演奏も東京事変によって行われている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/おいしい季節/決定的三分間
独創的、普遍的な世界観でファンを惹きつける椎名林檎さん。
文学的な歌詞と、官能的なビジュアルは様々なところで高い評価を受けています。
これは明治「ザ・チョコレート」のCMソングとしてのカバーです。
2019年FNS歌謡祭でも披露され、椎名林檎さんの美しさが話題にもなりました。
そんな「おいしい季節」の歌詞もとても美しく、考えがいがあるものです。
恋する大人の女性の想いを綴っているようなこの曲の歌詞を、今日は徹底考察していきます!
全体を通したこの曲のポイント!
椎名林檎さんの歌詞の中には、難解な言葉や概念がよく出てきます。
今回の歌詞も非常に文学的で、少し理解しづらい部分があるのではないでしょうか。
まずはじめに、アイスクリームという単語が「時間」の比喩表現として使われていること。
またその時間が溶ける、時間を食べるとはどういうことか。
この歌詞は、まるで誰かをせかしているような表現があります。
なぜ急かすのか。
そして最後の結論はどうなったのか。
旬のうちに味わうことの本当の意味。
この辺りが歌詞解釈のポイントになってきます!
登場する男女の関係
1番Aメロ
些細なこと褒めたり Your words wash over me
電波の向こう忙しい It's really funny
話題が継ぎ接ぎ 自然じゃないデザイン
早いとこ核心ついて
出典: おいしい季節/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
登場するのは2人の男女。
この男女間の構造を考えていこうと思います。
恋する乙女と軽い男、という感じでしょうか。
主人公は乙女側です。
電話しても電波の向こうで忙しそうにしているし、まるで話題をペタペタ貼っているみたいである、と。
どうでもいいことを褒められたり、どこか自然じゃない会話に不満を抱く乙女がここにいます。
そんな内容のない話より、もっと腹を割って話がしたい。
本音で愛し合いたい。
それが「早いとこ核心ついて」という言葉なのではないでしょうか。
少し話はそれますが、このサビへの導入の仕方が見事ですよね。
コメディアンの小林賢太郎さんも椎名林檎さんとの対談で、林檎さんの曲は食べやすいとおっしゃっていました。
この曲もまた、「食べやすい」曲になっています。
ここからサビだぞ!ってわかる歌詞の作り方ですよね。
では続けていきましょう。
2番Bメロ
いざあっても隔たり
電話の音騒がしい
腑甲斐ない遣り取り
自然こそリファイン
硬い言葉よりそっと
出典: おいしい季節/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
ここではっきり2人のすれ違いが見えてきます。
大切な人とのやりとりに不甲斐なさを感じるとはどういうことでしょうか。
会話をしていてどこか情けなく思う状況って、誰かが情けないとかではないと思うんです。
素直になれない私たち、2人揃って情けない、不甲斐ない。
そうです。
あの独特の男女間の隔たりを綺麗に表現している歌詞です。
どちらかが勇気を出せばいいんだけど、睨めっこしているような、そんな空気のことだと思います。
時間を食べるってどういうこと?!
I SCREAM
君は判っている
旬は流離う悪者
おいでここへ急いで
時間は食べるべきものさ
出典: おいしい季節/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
この部分の歌詞は理解しがたいですが、何か実感を伴ってずっしり心に残ります。
では読み解いていきましょう。
冒頭でも話した通り、この歌詞の世界では、時間を溶けていくアイスクリームに例えています。
時間が溶けていく。
つまり、有限だということなのですが、ではこの時間ってなんでしょう。
その答えは、「旬」です。
いやいや、その旬ってなんだよ!となりますよね。
ここが、この曲の1番のポイントだと思うんです。