相手の将来の幸せを願う主人公。
その一方で、自分と一緒ではその幸せは望めないとも思っています。
確かに、これほど弱気で自尊心の低い主人公と一緒ではダメになるかもしれません。
「自分と一緒にいたら相手がダメになる」のではないのです。
本当は「相手と一緒にいると自分がダメになってしまう」のが怖いのでしょう。
それに気がついた主人公は、相手から別れて自立することにしました。
そして、「相手にも悲しみを乗り越えて欲しい」という思い。
最後の2行にはふたつの意味が込められています。
これを聞いたら相手はどう思うだろうか
聖なるこの夜に
別れを選んだ
想いは永遠を誓う
意味あるこの夜に
終わりにするんだ
今でも君を 誰より
愛してるから
出典: ごめんねクリスマス/作詞:秋元康 作曲:フジノタカフミ
この主人公は、あくまで自分の中だけで完結させようとします。
もともと、ふたりの愛を確かめあうはずだったクリスマス。
相手も主人公を信じて教会にいるはずです。
しかし、別れることを決断した主人公。
未練があることは間違いありません。
なぜかたくなに、会いに行くのを拒否するのでしょうか。
愛しているというのなら、なぜ別れることにするのでしょう?
この主人公の独白を聞いて、相手が納得するのは難しいのではないでしょうか。
自覚
君と瞳(め)を合わせずに
このまま逃げてていいのか?
サヨナラを言わなけりゃ
愛しさまで嘘になる
出典: ごめんねクリスマス/作詞:秋元康 作曲:フジノタカフミ
1番で逡巡していた主人公。
自分で、自分の中にある矛盾には気がついています。
大切なことは、きちんと対面で、相手の目を見て話す。
これは、人としてとても大切なことです。
主人公は、気は弱そうですが、誠実な人物のようです。
自分の言葉で別れを告げ、それでも愛を持っているとも伝える。
別れの理由が明らかになっていないのでもどかしくもありますが。
まずは、主人公のこの先の行動を見守りたいと思います。
それでも迷ってる
僕は僕らしく
(それは勝手だと言われたって)
けじめはつけなきゃね
(君は今の恋を捨てて行くんだ)
勇気出して 君に会って
憎まれようか
出典: ごめんねクリスマス/作詞:秋元康 作曲:フジノタカフミ
何が正しい行動か、主人公は「頭では」わかっています。
しかし、その頭の良さゆえに、色々想像してしまうのです。
きっと泣かれる、きっと厳しい返事が待っている。
自分は相手に愛を持っている。
そして、相手は自分のことが好きで、別れるはずがない。
「なぜ別れるのか」と、きっと相手から理由を問われることでしょう。
それに答えられない。
答えたら、憎まれてしまうのかもしれません。
この後、もう一度冒頭のサビになります。
そう、ここまでずっと、主人公は迷っているのです。
そんなに魅力的なのか
なぜ主人公はそこまで迷い、行動を起こせないのか。
それは、相手との時間がかけがえのないものだったから。
しかもそれは「相手にとって」なのだと思っているのです。
主人公は相手と別れたい、できれば綺麗な形で。
自分を忘れて欲しいと言葉にしつつ、本当は未練があるのです。
相手のことのように書いていますが、振り向いてしまうのは主人公のほうです。
主人公にすごく厳しい感じになりましたが
歌詞を読んでみると、この主人公、正直ちょっといかがなものかと思ってしまいました。
ごめんねと謝りつつも、一方的に別れを告げたい。
別れると言いながら、愛していると伝えたい。
しかし直接会って話すのが怖いから、相手の待つ教会に行こうかどうか迷っている。
…という状況のまま、曲が終わってしまいました。
別れなければならない理由もわからずじまいです。