DAOKO『拝啓グッバイさようなら』
従来のイメージを刷新する楽曲！
「拝啓グッバイさようなら」は2017年4月に配信シングルとしてリリースされた楽曲です。
彼女はこの曲でニコ動出身のJKラップシンガーというステレオタイプなDAOKOのイメージを刷新します。
ピアノの静かなイントロから始まるイントロ。
軽快なハウス調の4つ打ちバックトラック。
そして全編通してほぼラップを排したポップな歌物。
「拝啓グッバイさようなら」の前作が女王蜂との先鋭的なコラボ曲。
従来と明らかに変化したであろうDAOKOの音楽性にファンの反応も様々でした。
『神撃のバハムート』EDテーマ
ソーシャルゲームから派生したアニメ「神撃のバハムートVIRGIN SOUL」。
「拝啓グッバイさようなら」はそのエンディングテーマとして起用。
DAOKOのウィスパーボイスはアニメとの相性も良く本作のファンや制作陣からも好評を得ます。
結果として「神撃のバハムート」の第2期でもDAOKOの楽曲が使用されることに。
このことでより幅広い客層にまで人気が浸透することになります。
MVをチェック
制服を脱ぎ捨てて少女はオトナになった
オトナの色気を醸し出す内容となった「拝啓グッバイさようなら」のMV。
一見するとスウィーティーな楽曲とのギャップを感じます。
しかし「過去との決別」や「夜明け」を匂わせる歌詞との絶妙なリンクにお気づきでしょうか？
洋服を脱ぎ捨て裸の自分と向き合うDAOKO。
彼氏と思わしき設定のカメラマンへ向けるシニカルな視線。
撮影を投げ出し花束を投げ捨てセットを破壊するラスト。
これは従来のステレオタイプな自身のイメージからの脱皮のような行為に感じられます。
実際に歌われる歌詞を読み解いてみましょう。
歌詞の意味を徹底解釈
大丈夫大丈夫、いつもの呪文唱えて
大渋滞大渋滞、言葉と心が正反対
デフォルト、絵の具の端から端まで
混ぜ合わせたカラーの僕だから
出典: 拝啓グッバイさようなら/作詞:DAOKO 作曲:多保孝一,TAKU INOUE,DAOKO
大丈夫だよ。いつも自身に語りかける言葉は心を守る防御の呪文。
しかし呪文の効果はどうやら薄れてきてしまったようです。
限界まで耐え抜いた心に呪文は効きません。
大丈夫だよ。行き場をなくした呪文だけが心の中に溜まっていきます。
今まで守り抜いてきた期待されるDAOKOのイメージ。
本来の自分とのギャップに戸惑うような不安な心情が冒頭から吐露されます。
本当の僕は半端もの
壊れそうで、壊れやしない
溢れそうで、溢れもしない
半端もんの僕だから、大したものにはなれないや
出典: 拝啓グッバイさようなら/作詞:DAOKO 作曲:多保孝一,TAKU INOUE.DAOKO
当時のDAOKOはジャンルを問わず様々なコラボを目まぐるしいスピードでこなしていました。
またあるインタビューで「私は1年ごとに更新されてる」とも語っています。
ニコ生出身のJKラップシンガーとして纏わりつくイメージ。
それがDAOKOにとって重い足かせになってきたのでしょう。
しかし精力的に殻を破ろうと模索してもどうしても壊せない壁が立ちはだかります。
この曲では壁を壊すことも、気持ちを溢れ出すこともできない自分を「半端もん」と描写。
このままでは何も成し遂げることができないという焦燥感を強く感じる歌詞ですね。
