「カイコ」1番の歌詞
「カイコ」の1番Aメロの歌詞
すべてのものに神が等しくあらせるのだと
心の首元にぎゅっと手が回る
明らかならなぜにわざわざ唱えるのでしょう
満杯の胃袋になおも生肉を詰め込むように
出典: カイコ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
宗教の経典のようなワンフレーズで歌詞がはじまります。
シンプルな演奏の上でポツリポツリと呟く声が、切なく響くようです。
そして続く“心の首元〜”という言葉がとても気になります。
素晴らしい慈愛の言葉を受けてなおも苦しんでいる主人公がイメージできるでしょう。
「人々を苦しみから救うような言葉は、実は役に立っていないのではないか?」
「この言葉で苦しみを紛らわせているだけなのでは?」
歌詞の主人公の深い部分での葛藤がありありと描かれています。
本当に悲惨な状況に陥ったとしましょう。
そんなとき、前向きな言葉や仰々しい言葉だけではどうにもならないことがあります。
主人公はその感情を歌っているのでしょう。
1番Bメロの歌詞
まるで僕への当てつけのようでなんだかな
イラっとくるな君はどっちの味方なの?
疑われてるような
出典: カイコ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
Aメロの“すべてのものに〜”という部分を、主人公は自分へのあてつけだと考えているようです。
言葉でもどうにもならない自身の状況に少し怒っているのでしょう。
このパートは、“君は〜”や、“疑われてる”というフレーズが、誰に対しての言葉なのかわかりにくいです。
主人公が、神を信じていないと疑われているという解釈もできます。
主人公が誰かに語りかけているように捉えることも可能です。
最後が“疑われてるような”となっているので、恐らく前者でしょう。
「自身の悲惨な状況を前向きに受け止められないことは、人格の否定になるようだ。」
そんな辛い心境を歌っているのではないでしょうか。
「カイコ」1番のサビの歌詞
世界は疲れたって僕にはもう無理だって
宇宙の寂しさをひとりで背負う
作り上げてはみたが
世界は疲れたって人々のため息だけ
でもゆうに銀河一個は埋まるほどと
今頃愚痴こぼしてら
出典: カイコ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
サビでは、さらに抽象的な世界が歌われているようです。
そして、歌詞の対象が“僕”から“世界”に変わっています。
“世界”が嘆いている様子を歌っているのでしょう。
世界は宇宙を含めたすべてのものをつくりあげてきた「創造主」を指しているのかもしれません。
ただ、世界には「実際の世界」という意味も持たせてあるので、サビ全体が抽象的に感じられます。
創造主は希望を持って世界を築き上げてきましたが、聞こえてくるのはため息ばかり。
やり切れない想いが込み上げてきたのでしょう。
愚痴のひとつもいいたくなります。
「カイコ」の2番の歌詞
2番Aメロ
彼らのため息と悲鳴と端ぎ声と
すべて吸って綺麗な明日を吐き出す
そんな木に生えるは
人の姿 形した なんとお呼びしましよう
この悪寒をこの菌を
出典: カイコ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
少し怖い歌詞になってきました。
人々の悲惨な生活で吐き出された二酸化炭素。
それを酸素にして吐き出している木を、まずは慈しんでいます。
そしての木の中に、人の形をしたものを見つけたのでしょう。
人の怨念が宿ってしまったことを嘆いているのです。
“菌”という言葉も気になります。
人の怨念を菌といっているのかもしれません。
木自体が人の形に見えるのではなく、それに生えているキノコが人の形をしている可能性もあります。
キノコは菌類ですからね。
いずれにせよ、2番のAメロは人の業が垣間見える歌詞になっていて、ちょっと寒気が走ります。
この「カイコ」という曲の結末はどうなるのでしょうか?
まだ全容が見えてきません。