曲のタイトルがなぜ「カイコ」なのかまだわかっていません。
それを理解するには、カイコがどんな生き物なのか知る必要があります。
カイコとは絹糸が取れる虫のこと。でもこれだけの情報では不十分です。
もう少し詳しく調べてみましょう。
カイコは家蚕(かさん)とも呼ばれる家畜化された昆虫で、野生には生息しない。また野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られ、餌がなくなっても自ら探したり逃げ出したりすることがなく、人間による管理なしでは生きることができない。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/カイコ
カイコのかわいそうな実態がわかりました。
カイコは絹糸を生産するために品種改良された虫なので、野生の本能すら失っているのです。
成虫も翅はあるが、体が大きいことや飛翔に必要な筋肉が退化していることなどにより、羽ばたくことはできるが飛ぶことはほぼできない。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/カイコ
成体になっても羽があるにも関わらず飛ぶことができません。
「カイコが何のために生きているのか?」恐ろしい問いにはもちろん答えがあります。
繭は一本の糸からできている。絹を取るには、繭を丸ごと茹で、ほぐれてきた糸をより合わせる。茹でる前に羽化してしまった繭はタンパク質分解酵素の働きで絹の繊維が短く切断されているため紡績には向かない。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/カイコ
ほとんどのカイコが、成体になって繭から抜け出す前に茹でられて死んでしまいます。
カイコは人が使う絹を生産するためだけに存在するのです。
次の項目では、これらの事実を踏まえて、なぜ曲のタイトルがカイコになったか考察していきます。
なぜタイトルが「カイコ」なのか?
カイコは自分で糸を紡いで繭を作ります。いってみればカイコの世界は繭の中だけです。
自分で作った世界。カイコはいわば創造主です。
しかし、彼らからしてみればそこに輝かしい未来は待っていません。
そんなカイコの人生と、今の人類の現状を重ね合わせたのがこの楽曲なのだと思います。
繭の中はひとつの世界なのです。
人類はカイコのように、出口のない繭のような世界を作っているだけではないでしょうか。
その問いかけこそが曲の最大のテーマなのだと思います。
少し悲しい解釈だと思うかもしれません。
しかし、現状打破の方向を目指すために必要な問題提起になっていると思います。
3.11東日本大震災を想って作られた楽曲
東日本大震災が発生してから3回目の3月11日に、「この日にふさわしいのかどうかわからないけど、3年前の出来事があって産まれた曲」のメッセージとともに、YouTubeにて新曲「カイコ」を公開。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/RADWIMPS
「カイコ」は東日本大震災についての様々な想いが込められた楽曲です。
しかし、歌詞を見てわかるように、東日本大震災に対してのシンプルな応援歌やレクイエムではありません。
「どうにもならない現状がある。」
「その現状を人類の手で作り出しているとしたら、未来はどうなるのか。」
「今のうちに警鐘を鳴らし、なるべく幸せな将来がくるようにしよう。」
そんなメッセージが注がれているのだと思います。
この記事のまとめ
ここまで記事を読んでいただきありがとうございます。
RADWIMPSの名曲「カイコ」の歌詞を紐解くキッカケになったのなら幸いです。
曲の歌詞では明るいことばかり歌っていたわけではありません。
しかし、その裏には悲しみを伝えることで明るい未来を築こうという意図があったように思えます。
カイコの糸が紡ぎ出しているのは決して悲しみだけではないはずです。
最後に、RADWIMPSの他の曲の歌詞を解説した記事をいくつか紹介して終わりたいと思います。
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