はじめに
今回取り上げるのはAC/DCの【You Shook Me All Night Long】です。
収録されているのはこれまでの音楽史上、世界で3番目に売れたアルバム『Back In Black』。
このアルバムはボーカルのボン・スコットの死後はじめてリリースされた作品でもあります。
そういった観点からも表題曲【Back In Black】をはじめとした楽曲群を聴いてみてもいいでしょう。
またこの曲は、あらゆる意味で頭のなかをすべて空っぽにして没頭できる楽曲となっています。
それだけシンプルな作りだったからこそ、世界的に大ヒットしたのかもしれませんね。
オフィシャルビデオがAC/DCの公式チャンネルからYouTubeで公開されていました。
俺の彼女は最高のスポーツカー
まずは冒頭の歌詞から
She was a fast machine
She kept her motor clean
She was the best damn woman I had never seen
She had the sightless eyes
彼女はものすごく速いスポーツカーだった
彼女はそのエンジンも綺麗に保っていた
彼女は俺がこれまで出会ったなかで最高の女だった
彼女は盲目の瞳をもっていた
出典: You Shook Me All Night Long/作詞:Brian Johnson,Angus McKinnon Young,Malcolm Mitchell Youn 作曲:Brian Johnson,Angus McKinnon Young,Malcolm Mitchell Youn
AC/DCはオーストラリア出身のロックバンド。
しかし同じ英語圏ということもありアメリカでも大きなセールスを上げました。
アメリカやオーストラリアといったダイナミックな土地柄とAC/DCの曲は非常にマッチしています。
そのため、我々日本人からすると少し文化が違うなと感じる部分も多々あるのが現実。
しかしながら、どんな人種であろうと、頭を空にして楽しみたいと思うことはあるのではないでしょうか?
そんな私たちの願いを叶えてくれるのが【You Shook Me All Night Long】です。
彼女のことを褒めちぎる!
歌詞の内容は極めてシンプルなものになっています。
まずはこの冒頭部分から見ていきましょう。
“She(彼女)”のことを褒めに褒めている語り手である彼。
“sightless eyes(盲目)”は本当に目が見えないのではなく、「気にしないでくれる」くらいがいいでしょう。
あるいは「目をつぶってくれる」という表現が合っていると思います。
男からすると、いちいち細かいことに関して見ていないことにしてくれる女性は都合がいいのかもしれませんね…。
そのため、“sightless eyes”についても彼からすると高評価できるポイントとなってくるわけです。
彼女にすっかり骨抜きにされる彼
男はすでに絶頂に…?
Telling me no lies
Knockin' me out with those American thighs
Taking more than her share
Had me fighting for air
彼女は嘘をつかない
そのアメリカ育ちの太ももで俺をノックアウトさせた
彼女以上のものを俺は感じてしまい
俺は絶頂間近で戦っていたんだ
出典: You Shook Me All Night Long/作詞:Brian Johnson,Angus McKinnon Young,Malcolm Mitchell Youn 作曲:Brian Johnson,Angus McKinnon Young,Malcolm Mitchell Youn
純愛や恋とは少し距離感のある二人の関係性が見えてきます。
アメリカ生まれの、あまりにもセクシーな彼女に彼は完全に虜にされてしまっているよう。
よく洋画などで目にするムチムチとしたアメリカンギャルが目に浮かんできます。
そして歌詞内容から、二人はすでに肉体関係を結んでいるよう。
しかも彼は“fighting(戦っている)”のですが彼女の魅力に押し負けてしまっているように思えますね。
地球が揺れるほどに衝撃
She told me to come but I was already there
'Cause the walls start shaking
The earth was quaking
My mind was aching
And we were making it and you
彼女は「来て」って言ったけど
俺はもうそのときには到達してしまってた
だから壁は揺れ出して
地球も揺れ出したんだ
俺の心は疼きだして
そして俺たちは一緒になった
出典: You Shook Me All Night Long/作詞:Brian Johnson,Angus McKinnon Young,Malcolm Mitchell Youn 作曲:Brian Johnson,Angus McKinnon Young,Malcolm Mitchell Youn
二人のプレイについて語られています。
あまりの衝撃に、彼は地球が揺れているような錯覚さえ覚えているよう。
魅力的すぎる彼女との一夜に、すっかり骨抜きにされてしまったのでしょう。
AC/DCに心温まる恋の歌はなく、このような“making love(メイクラブ)”の歌ばかりです。
分かりやすいモチーフにその表現。
その姿勢を、1973年のデビューから現在も貫き続けているのが、世界中から支持される理由なのかもしれません。
難解な歌詞を読み込みたいときもあります。
繊細な男女の恋心について音楽を通して浸ってみたいときもあります。
しかしAC/DCを聴くときは、そんなことは一切忘れてただただその音に溺れればいいのかもしれませんね。
それにしても一方的に彼女に責め込まれてしまっている彼。
このあと彼が攻守交替できる瞬間は訪れるのでしょうか?