■アニソン好きなら誰もが知ってる! FictionJunction2枚目のシングル
アニメ好きな方にとってはおなじみのFictionJunctionが2010年1月にリリースしたシングル「時の向こう 幻の空」。
アドベンチャーゲームを原作としたアニメ「おおかみかくし」のオープニングテーマ曲として採用されました。
今回は「おおかみかくし」の世界観を見事に表現した歌詞に注目。
残酷な運命に踊らされる高校生たちの心情をうまく描写して内容を、大切な部分だけを抜粋しながら解説します。
■アニメ「おおかみかくし」は竜騎士07が描く“ミステリー×アドベンチャー×ラブストーリー”
ではまず、「おおかみかくし」の世界観をご紹介しましょう。
アニメ・おおかみかくしは「ひぐらしのなく頃に」で有名な竜騎士07さんが原作原案を務めたミステリーです。
舞台は、人里離れたニュータウン・嫦娥町(じょうがまち)。
そこで転校生の男子高校生と3人の女子高生を軸にストーリーが進んでいきます。
と、ざっくり概要を書くとなんだか平和なイメージが湧きますが、一筋縄ではいきません。
「ひぐらしのなく頃に」や「うみねこのなく頃に」を、ご覧になった方ならば分かるでしょう。
竜騎士07さんの作品は、恋愛を盛り込みながらも、ちょっとグロテスクでサスペンスめいてるのが特徴です。
「おおかみかくし」も例にもれず、いわゆる“日常系アニメ”のような展開ではありません。
一言で言うと「人間と非人間との許されざる恋」とでもいいましょうか……。
あまり詳しく書くと「ネタバレ」になってしまいますので、概要はこの辺で。
では「時の向こう 幻の空」の歌詞とストーリーがどのようにリンクしているのか、ご紹介します。
ストーリーが持つ“哀しみ”を想わせる歌い出し
愛しさはいつも
哀しみへと続いてるの?
君に もう一人きりで
泣かないでと言い出せずに
出典: 出典:時の向こう 幻の空/作曲:梶原由記 作詞:梶原由記
まずは歌い出しに注目しましょう。
早速「愛しさは哀しみにつながるものなのか?」と、物語の持つ悲愴感を暗示するような言葉がありますね。
その後のパートでは、“君”のことが心配だけれど力になれない、話し手と“君”との距離感が表現されています。
単語の1つひとつから漂うのは、悲しさや悔しさでしょうか。ちょっと切なさも感じてしまいます。
刹那的な思春期の“危うさ”を表現
色褪せてく世界の歌
僕等は終わりへ旅をする
その束の間に君と出会った
命を削るように
出典: 出典:時の向こう 幻の空/作曲:梶原由記 作詞:梶原由記
さて次のパートです。
「色褪せてく世界」という言葉から刹那的なものを感じます。
この部分では、高校生ならではの世界観を表現したかったのではないでしょうか。
子どもと大人の境界線にいる高校生の時期はあまりに速く過ぎ去っていきますよね。
まさに「束の間」の時間。「おおかみかくし」の出会いを表現しているのでしょう。
気になるのは「終わり」や「命を削る」などの危険なワード……。
アニメの主人公たちを襲う試練を物語っているようです。
タイトルにもある「時の向こう」「幻の空」が登場するサビ部分
時の向こうに確かにあった
遙かな故郷、君と行けるの
愛も見えない夜の向こうに
幻の空
出典: 出典:時の向こう 幻の空/作曲:梶原由記 作詞:梶原由記
さていよいよサビの部分。
ここで注目すべきはタイトルにもある「時の向こう」と「幻の空」でしょう。
時間という概念を超えた空間、そして実像のない空。
この時点では、なにを表現したいのかが、まだはっきりとは分かりません。
ここではいったん、置いておきましょう。
「おおかみかくし」の世界を“惨劇”というフレーズで表現
この惨劇の行方がただ
静かな夜であればいい
知っていたんだ、届かないこと
それでも僕等は闇を駆け抜け
出典: 出典:時の向こう 幻の空/作曲:梶原由記 作詞:梶原由記
2番に突入です。
「惨劇」というかなり衝撃的な言葉が出てきました。
そしてその結果、何事もなければいいと望んでいますが、その願いは叶わないことを覚悟しています。
切なさを感じますね。
文脈から読み解くと「惨劇」と「闇」は同じものなのでしょう。
闇から逃げられないことを知っているけど、惨劇を止めることはできない。それでも立ち向かう。
作中で高校生たちに襲い掛かる悲劇を物語っているようです。